久保王将 防衛へ豊島八段誘いに乗った 今期最少38手も終盤へ

[ 2018年3月7日 05:30 ]

第67期王将戦7番勝負第5局第1日 ( 2018年3月6日    島根県大田市・さんべ荘 )

王将戦第5局第1日 次の一手を考える久保王将
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 久保利明王将(42)に豊島将之八段(27)が挑む第5局が開幕した。久保の3勝1敗で迎え、戦型は角交換型振り飛車。朝から開戦し、封じ手次第では、今期最少38手目ながら終盤の入り口まで進んだ。久保が通算4期目の獲得か、豊島が1差接近か。7日の2日目、午前9時から対局再開される。

 ノーガードの打ち合いになった。2つの王が一マスも動かず囲いもしない。対局場別室での大盤解説会。岡山市出身でゲスト出演した菅井竜也王位(25)が「1日目に来るのが大正解です」。現代将棋を象徴するように午前から緊迫した。

 豊島の8手目[後]6二銀(第1図)に棋士らが集う控室から驚きの声が上がった。飛車の横利きを閉ざして3五まで伸ばした歩を相手に委ねた。

 豊島は問うた。取りにきますか?でなければ飛車を振りますよ、と。久保は誘いに乗る。

 振り飛車党が守備に使う右銀を1筋から活用した。1七、2六、3五。3手の間に豊島は攻撃態勢を整える。久保の歩得か豊島の手得か。開始30分の波乱は、ほんの前兆にすぎなかった。

 久保の25手目[先]6五歩、午後も相手の読みを否定し、自らの確かさを主張するように、穏やかな表情、静かな所作で進む対局場で意地が交錯した。「(29手目)[先]6六銀が振り飛車党らしいさばき。後手は辛抱のしどころです」。解説の稲葉陽八段(29)は豊島の応接次第で終盤の入り口との見解を示した。

 久保、豊島がトップ並走した、11人で名人戦挑戦権を争うA級順位戦。2日の最終局に両者敗れたことで史上初、6人によるプレーオフになった。前期成績順による1回戦が4日にあり、豊島が久保を157手で制した。日をまたぎ5日午前1時に終了した感想戦の17時間後、大阪から移動して対局場検分が行われた。

 過密日程を久保は「棋士冥利(みょうり)」、豊島も「対局中、気持ちよく考えられる時間がある。それを増やすように」とストレスフリーな対局姿勢を体得。持ち時間8時間の長丁場は気力、体力も問われてくる。

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