喫煙者は「もうすぐ絶滅」!?“愛煙本”に予想以上の反響

[ 2018年3月5日 10:20 ]

 2020年東京五輪・パラリンピックに向けて、喫煙防止条例の取り組みなど“無煙社会”が加速している。記者は卒煙して4年になるが、喫煙者にとって年を追うにつれて肩身が狭くなっているのは明白だ。そんな中、“愛煙本”がちょっとした人気になっているという。

 芥川龍之介、夏目漱石といった文豪から筒井康隆、倉本聰、内田樹らベストセラー作家が煙草について書いた42作品を収めた「もうすぐ絶滅するという煙草について」(キノブックス)は1月末に発売された。好調な売れ行きを見せており、すぐに増刷がかかったという。担当者も予想以上の反響に驚いている。

 内容は、たばこ愛、喫煙者差別への怒り、禁煙への取り組みなどバラエティーに富む。

 「煙草は好きです。病中でもやめられません。朝早く眠醒めた時にも、食後にも喫みます」と書いたのは漱石。「喫煙者差別に一言申す」と題した筒井氏は「最近の喫煙者に対する非人間扱いはひどいものであり、なるほど過激な人間に非喫煙者の単純さが加わればいかにもやりそうなことである」と主張した。詩人の谷川俊太郎氏は「煙草の害について」という詩で「いいことは何ひとつないのに世界じゅうの人間が国境を問わず人種を問わず好む」とつづった。

 タイトルに「もうすぐ絶滅する」と踏み込んだ表現にしたのはキノブックスの意向。関係者は「題名は凄いもめました。このままでは喫煙する人が本当に絶滅するかもしれない、という意見が出たのでタイトルになりました」と明かした。

 数々の作家たちが名作を書き上げた陰に、たばこの存在があったかもしれない。そう考えると、健康被害など通り一遍の嫌煙論だけでなく、たばこの文化的側面に焦点を当てた議論がもっと広がってもいいと思う。

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2018年3月5日のニュース