初乗り運賃値下げのタクシー、「世界水準のサービス」へ進化の必要あり

[ 2017年5月18日 11:30 ]

 東京都心部などでタクシーの初乗り運賃が410円に引き下げられてから3カ月半余り。タクシー1台当たりの利用回数や収入を調べたところ、いずれも前年同期比を上回っていることが分かった。利用者の多くも、今回の“ちょい乗り”導入を歓迎していたが、運転手の接客態度に不満を持つ人もいた。

 今年1月30日、東京23区と武蔵野市、三鷹市に営業所を置く事業者を対象に、初乗り運賃が730円(2キロまで)から410円(1・052キロまで)に引き下げられた。一方、1・052キロ以降は加算ペースが上がるため、約6・5キロ以上になると旧運賃より割高になっている。

 都内タクシー大手の国際自動車によると、1月30日から4月15日までの間は、前年同期比で利用者数は104%で、売り上げは109%。大和自動車交通では、3月1〜31日の期間で、利用回数105・9%、売り上げ101・9%。日本交通も同期間で利用者、売り上げともに約105%だった。タクシー事業者で作る東京ハイヤー・タクシー協会によると、全体的に同様の結果が出ているという。

 一方、公益財団法人・東京タクシーセンターには、1月30日から4月16日までに初乗り410円に関連する苦情が45件寄せられた。内容は「初乗り料金の話をしたら、運転手が不機嫌になり、不愉快になった」「降りるときに“近い客ばっかりだ。バカヤロー”と言われた」など。同センターの担当者は「予想より多い苦情が寄せられている」と話している。

 利用者の右肩下がりが続くタクシー業界。東京五輪に向け、「世界水準のサービス」を合い言葉に訪日客需要を取り込む考えで、初乗り運賃410円はその戦略の一環だが、料金面だけでなく“おもてなし”の部分でも、さらにレベルアップしていく必要がありそうだ。

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2017年5月18日のニュース