蜷川実花さん 父・幸雄氏の“視点”で撮った個展開催「導かれてここまで来たかも」

[ 2017年5月11日 20:16 ]

個展「うつくしい日々」を開催した蜷川実花さん
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 写真家で映画監督の蜷川実花さん(44)が11日、個展「うつくしい日々」を開催中の東京・北品川の原美術館で取材に応じ、あす12日に一周忌の命日を迎える父の蜷川幸雄氏への思いをあらためて語った。

 展示された61点の写真は、幸雄氏が亡くなる前後1〜2カ月の間に撮影。入院中の父が「もう外に出ることはないんだ」という思いに駆られ、ファインダーをのぞいた「逝(い)く人の目で撮った写真」だそうで、「狙って撮ったわけではないのに、今までの自分ではこんな写真は撮らなかった。何げない風景でも明るく、まぶしく、美しいと思い、そういう世界と人は分かれていくんだと染み入りながら撮りました」と説明した。

 中には「写真家としての欲で撮った」という亡くなる直前の心電図の写真や、「最後まで悩んだけれど、入った方が伝わりやすい」と決意した幸雄氏のむくんだ手の写真も展示。会期中に命日を迎えるにあたり、「もちろん偉大だし、すごかったと思うこともたくさんある。父に導かれてここまで来たかもしれないですね」としみじみ話した。

 個展の写真を収めた写真集「うつくしい日々」(河出書房新社刊)も発売。「大切な人との別れは、どなたでも共有できること。自分で言うのもなんですがいい本なので、もしかしたら代表作になるかもしれない」と話していた。

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