「さりげなく生きる」信念貫いた82年 多くの人に愛された藤村さん

[ 2017年2月2日 05:40 ]

藤村俊二さん死去

日本テレビ「シャボン玉ホリデー」に出演した藤村俊二さんと三ツ矢歌子さん。後列はピンク・レディー
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 飄々(ひょうひょう)とした風貌で俳優や司会者、コメディーなど幅広く活躍した藤村さん。良く知る人によると、口癖は「さりげなく生きるのがいいんだよ」だった。まさにその生き方を貫いた。

 実は、69年に始まったTBS「8時だョ!全員集合」のオープニングの踊りを振り付けていた。当時のディレクターで、後に横浜ベイスターズ球団社長を務めた峰岸進氏(74)は「業界では珍しい“オレが!オレが!”じゃない人。あの踊りも“そういえば、おヒョイさんが振り付けたんだっけ?”というぐらい。とてもスマートな人でした」としのんだ。

 日本中の老若男女が「エンヤーコラヤ」と踊ったが、けん伝することはなかった。「僕はおヒョイさんって呼んでいて、藤村さんって呼んだことが一度もなかった。みんなもそう。それぐらい親しまれていた」と語る。

 15年までナレーターを務め、最後の出演番組となった日本テレビ「ぶらり途中下車の旅」の総合演出の佐藤一氏によると、ナレーションの収録にも、靴や帽子、メガネまで英国などのトラディショナルなブランドにこだわった着こなしで訪れていたといい「格好いいスタイルを自慢するようなことは決してなかった。ふらりと現れてふらりと帰っていかれました」という。

 さりげなさの中におしゃれとこだわりも一貫してあった。東京・南青山で経営したワインバー「O’hyoi’s(オヒョイズ)」は英国から職人を呼んで建設。ワイングラスもデザインし、内装やワインや食材も選び抜いた。

 そんな人柄は軽妙な雰囲気を生みだし、バラエティーで輝いた。フジテレビ「なるほど!ザ・ワールド」、日本テレビ「ゲバゲバ90分!」、TBS「ぴったし カン・カン」など人気番組で引っ張りだこ。映画「ハレンチ学園」ドラマ「古畑任三郎」など、味わいのある俳優としても活躍した。

 26年前に胃がんの手術を受けた際には、周囲に負担をかけまいと「海外ロケに行く」とうそをついて1カ月ほど入院。復帰の時には土産まで用意していたという洒脱(しゃだつ)な人柄。センスにあふれ、多くの人に愛された。

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