三谷幸喜氏「真田丸」振り返る 脚本に込めた思い「信繁は敗者の守り神」
三谷幸喜氏インタビュー(上)
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18日に最終回を迎えるNHK大河ドラマ「真田丸」(日曜後8・00)の脚本を務めたヒットメーカー・三谷幸喜氏(55)が、オンエア後“最初で最後”のインタビューに応じ、実質2年間に及んだ作劇を振り返った。脱稿した現在の心境を吐露。主人公・真田信繁(堺雅人)の人物像に「勝てなかった人たちの“守り神”になってほしい」と思いを込めたことや「きっちりとしたキャラクターを作る」という“流儀”の下、名もなき戦国時代の女性たちを描いたことを明かした。
−脚本を書き終えた時の心境は?
「脱稿したからといって“終わった”という気持ちにはならなかったです。脚本は作品の一部でしかないと思っていますので、やはり最終回のオンエアが終わった時にどう感じるかですね。偶然ですが、僕の自宅の近所の整体に通っている(主演の)堺雅人さんから『今、整体に来ているので、お茶でもどうですか?』と脚本を書き終わった直後に連絡があったんです。『これは会うべきだ』と思って、書き終わって、そのまま近所の喫茶店で一緒にお祝いをしました。うれしかったですね」
−信繁など「偉大な父を持った2代目」にスポットライトを照らした意図は何ですか?
「大学の頃に見た『アマデウス』というお芝居に出てくるサリエリという作曲家が大好きなのですが、彼はモーツァルトの影に隠れてしまった男で『自分は神から選ばれなかった人間である。でも、自分はそういった人たちの守護神なんだ、守り神なんだ』と最後に言うんです。それがすごく心に残っていて、今回、真田信繁を描くにあたり『信繁とは何だ?』と考えた時、信繁は決して人生の勝者ではなく、敗れていった人すべての代表であるような気がしました。また、彼は偉大な父を持つ2代目としてあがく人たちの代表であるような気もします。その部分を前面に押し出すことで、信繁がただのヒーローではなく、勝てなかった人たちの“守り神”になれるといいなと思いながら描きました。戦国時代で僕が好きな人たちは、みんな敗れていった人たち。石田三成もそうです。だから物語の後半、三成がある種の主役になるのも必然でした。偉大な父を超えようとして踏ん張っている2代目、3代目にシンパシーを感じるので、豊臣秀次をフィーチャーしたいと思ったのも偶然ではなく最初からのプランでした」
−戦国時代の女性が魅力的に描かれていました。
「きり(真田家重臣・高梨内記の娘、長澤まさみ)のように誰々の娘、誰々の妻としか名前が残っていない人を描く時、そこに縛られてしまうあまり“娘”“妻”という役割しか描かないということに陥りがちです。そうではなく、誰々の娘であろうが、誰々の妻であろうが、1人の人間として実際に存在していたんです。だから、きっちりキャラクターを作ってあげることが大事で、それはその人たちに対する姿勢として忘れてはいけないと執筆前から自分の中で決めていました。余計なキャラクターづけと思う方もいらっしゃるかもしれないとは思いましたが、きちんと彼女たちを誰々の何々から解き放つことが僕の仕事だと意識していました。だから魅力的な女性キャラクターが多くなったのだと思います」
−当初のイメージから変化していった登場人物はいましたか?
「一番成長した登場人物の1人は、こう(長野里美)。最初、こうは病弱で、稲(吉田羊)と信之(大泉洋)が結婚したあたりで物語からフェードアウトさせようと思っていました。でも長野さんのお芝居がすごくフィットして、キャラクターとして成長を始めていたことに気づいたんです。そこで『正妻の座を離れてから元気になるというのはどうだろう』と思いつき、最後まで登場する形になりました。第1回の放送の時は考えもしませんでしたね」
=インタビュー(下)に続く=
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