「君の名は。」聖地凱旋フィーバー 映画館ない飛騨市で初上映会

[ 2016年11月7日 05:30 ]

映画「君の名は。」のビジュアル(C)2016「君の名は。」製作委員会

 記録的ヒットを続けるアニメ映画「君の名は。」(監督新海誠)の舞台の一つになったが、映画館がなく観賞できなかった岐阜県飛騨市で6日、初の上映会が開かれた。8月26日の公開直後から、映画と同じアングルで写真を撮るなど“聖地巡礼”をするファンが相次ぐ中、ついに“聖地凱旋”となった。

 この日は3回上映。会場の市文化交流センターでは、初回の午前10時の回を見るために午前6時すぎから行列ができ始めた。子供や学生に加え、普段アニメに触れない世代の中高年で長蛇の列。主催した市の職員も「こんなに人が並ぶことなんては普段はない。異例中の異例ですよ」と目を丸くしながら、準備に追われた。

 初回上映前には都竹淳也市長が「この機会を楽しんでほしい」とあいさつするなど、市を挙げての一大イベント。新海監督からは「地元の皆さんがどう感じるのか楽しみです」とビデオメッセージが届いた。

 同市内には作品に登場する場所のモデルとされる図書館やバス停、JR飛騨古川駅、気多若宮神社がある。観賞した同市の無職光家和雄さん(69)は「話自体が面白い。地元で見られてありがたい」と笑顔。同県高山市の中学2年中井歩胡さん(14)は「映像が奇麗。飛騨弁も聞けてうれしかった」と満足そうだった。

 飛騨市観光課によると、今回のチケットは先月23日に市民に先行販売され、午前10時、午後2時、午後6時の回、合計1950席が2時間足らずで完売。この反響を受けて12月に追加上映が決まった。

 公開中の映画の上映会は異例。市民からの強い要望があり、同市が配給元の東宝と交渉して実現した。同市は隣接する高山市にあった映画館が2年前に廃業してから、“映画館空白地区”になった。観賞するには車で1時間半以上かかる富山市や岐阜市、名古屋まで行かなければならなかった。それだけに、市民の喜びもひとしお。大ヒット作の舞台となったことをきっかけに、映画館の復活を願う声も高まりそうだ。

続きを表示

この記事のフォト

2016年11月7日のニュース