中島亜梨沙 「真田丸」謎の美女・吉野太夫 色気出す元宝塚の工夫

[ 2016年7月16日 12:30 ]

大河ドラマ「真田丸」で再登場が注目される吉野太夫を演じる中島亜梨沙(C)NHK

 大坂編が佳境に近づくNHK大河ドラマ「真田丸」(日曜後8・00)で、わずか2話の出演ながらインパクトを残したのが“遊女”吉野太夫を演じる女優・中島亜梨沙(33)。歌や踊りで豊臣秀吉(小日向文世)らを魅了し、インターネット上などでも「あの美女は誰?」と話題になった。英語も堪能な元タカラジェンヌで、教養あふれる才色兼備の文化人だった役柄にピッタリと思われたが、妖艶さを表現するのに苦労したという。再登場が注目される中島が演技の工夫などを明かした。

 初登場は第15話(4月17日放送)で、主人公・真田信繁(堺雅人)と秀吉の初顔合わせのシーン。なまめかしさで信繁を“誘惑”した。再び登場したのは第18話(5月8日放送)。信繁の父・昌幸(草刈正雄)が兄・信幸(大泉洋)を連れて上洛する場面。信濃から遠路訪れた昌幸らに、歌や踊りできらびやかな大坂を印象付けた。

 宝塚歌劇団の娘役出身で「羽桜しずく」として活躍。2008年には宝塚歌劇団新人賞を受賞した。09年に退団して以降はテレビドラマ、映画、CMなどに活躍の場を移した。大河ドラマ出演は13年「八重の桜」で西郷頼母(西田敏行)の妹・西郷眉寿(さいごう・みす)を演じて以来2度目。英語が堪能で利き酒師の資格を持つなど教養あふれる“美女”中島が、今回は時代の“文化人”としての側面も持つ吉野太夫役に起用された。

 オファーを受けた時は「凄く自分とはかけ離れている役だなと感じました。色気とかはないし、凄く人前に立つと緊張するタイプだったり…」と多くの不安があったという。それでも「男性の方が上の立場にいるような時代の中で、1人で生きているような女性像を出していけるように」と吉野太夫の“強さ”にこだわりを持って演じた。

 「もともとない色気を本当に歯磨き粉の最後のようにギューッと絞り出したという感じです」と、あくまで自身の色気には謙虚。それでも画面から伝わる妖艶さを演出するために元タカラジェンヌならではの工夫があった。「(宝塚の劇場は)すごく広い舞台だったので、本当に遠くのお客さんにまで分かるくらい大振りで“私を見て”というような演技でした。でも(カメラの前で)座敷で演じる太夫だと、例えば昌幸には昌幸、秀吉には秀吉に、あの距離で色気を届ける。目線を外した時でも“見られてる見られてる”と、視線を自分に引き付けるようなところを意識しました」と明かす。

 撮影は「右手と右足が同時に出ているくらい緊張した」というが「教養があり、女性としての懐の深さを表現する吉野太夫の芝居は、不思議と余裕が生まれました。凄くドッシリとしていられたのは、たぶん“中島”という私ではなく“吉野太夫”として演じていたからではないでしょうか」と手応えも感じた。

 「権力を持っている秀吉も昌幸も信繁も、すべて一緒のお客さん。(吉野太夫は)どなたが相手をしていても贔屓するような人ではない。でも信繁に対しては父親思いのところなどは、かわいいなと思っている部分はあると思います」と目線は吉野太夫になり切っていた。

 第28話「受難」(7月17日放送)、関白・秀次(新納慎也)がついに悲劇的な最期を迎える。傾き始める豊臣家の行方とともに吉野太夫の動向からも目が離せない。

 【吉野太夫】京都の太夫として代々続いた名跡で、初代から数えて10代続いたと言われている。世間一般に知られているのは寛永の時代を生きた“二代目”で、多くの小説やドラマに登場。“太夫”とは遊女・芸妓の位のことで、最上位に当たる。貴族や大名なども客として迎えるため、美貌だけでなく高い教養も求められた。初代の吉野太夫は三船敏郎の主演映画「宮本武蔵」で小暮実千代が演じた。

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