熊本出身の高良健吾、不安見せるも「この舞台に立たない選択はない」

[ 2016年4月16日 16:26 ]

映画「蜜のあわれ」大ヒット御礼舞台あいさつで気丈に笑顔で話す高良健吾

 熊本県出身の俳優・高良健吾(28)が16日、東京・新宿バルト9で行われた映画「蜜のあわれ」(監督石井岳龍)の大ヒット御礼舞台あいさつに共演の大杉漣(64)らと立った。

 冒頭のあいさつで高良は「自分の地元が震災で、大変なことになっているんですが、だからってこの舞台に立たない選択はないです」と気丈にあいさつ。「こっちでしかきないこともあるし、あっちでしかできないこともある。僕が今、与えられた仕事がここなので、短い間ですが、楽しんでいってください」と集まったファンにメッセージを送った。

 映画は金沢三文豪の1人である室生屑星が晩年に発表した同名小説の映画化で、室生自身を想起させる老作家(大杉漣)と、彼がめでる少女の姿に変貌する金魚(二階堂ふみ)との無邪気かつエロティックな触れ合いを艶やかに描いたファンタジー作品。高良は室生と同時代に活躍した作家・芥川龍之介を演じており、映画オリジナルの設定となっている。

 今回の熊本大地震を受け、大杉は「午前中に高良くんと話しました」とし、「大変なことが続いているが、高良くんにどうする?と聞いたら、こういう時だからこそ、舞台に立ちたいと彼は言いました。僕が言わなきゃいけない言葉を言ってもらって、背中を押してもらったような気持ちになった」と沈痛な後輩を気遣った。

 これまでもさまざまな作品で共演してきている高良について大杉は「ああ、芥川さんがいると、それぐらいのたたずまいだった。会う度に進化し続けている」と称賛。そんな言葉に高良もじっと大杉を見つめ、「めちゃめちゃ嬉しいです」と目に涙をためるシーンもあった。イベント後半では、大杉の提案で来場者への写真撮影も許可するサプライズも。最後にマイクを持った高良は「本当は不安なので、写真を撮ってくださった方は熊本のことを気にかけてくれたり、ちょっと何か思ってくれるだけでいいので、そうしてくれるだけで嬉しいです」と呼びかけた。

 高良は熊本市出身で、祖父母が現在も阿蘇に在住。同日に更新したブログで、祖父母を含め、自身の周囲の無事を報告しながらも地元熊本を心配する気持ちを投稿。17日に益城町での炊き出しを予定したというが、被害の広がりを受け、「この時点ではどうにもこうにも動けません。ずっとニュースを見ているだけしかできなくて今の状況だと、気持ちだけで動くことがかえって迷惑になることも分かるから」と断念したことを報告。「なにが今必要ですか?熊本のみなさん」と呼びかけ、「タイミングは見極めて動きます。もう少し落ち着いてからの動きは考えています、力を貸してくれる人達もたくさんいます。自分にできることはすべてやりたい」などと、地元のための支援活動への強い気持ちをつづっていた。高良は「熊本市わくわく親善大使」を務めている。

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