生島ヒロシ 家族との絆が呼んだ“2つの不思議な話”

[ 2016年4月16日 10:30 ]

生島ヒロシ

 熊本県で震度7の地震が発生した。津波こそなかったが、東日本大震災の最大震度と同じ規模。大きな被害が出ている。地球は14か15枚のプレートに覆われているが、日本列島はそのうちの北米、太平洋、ユーラシア、フィリピン海と4つのプレートの境目に位置している。首都直下や南海トラフ地震への警戒が叫ばれているが、日本はどの地方でも東日本大震災クラスの地震が発生しうるということを今回、改めて再認識させられた。

 東日本大震災は先月11日、発生から5年を迎えた。その数日前、宮城県気仙沼市出身のフリーアナウンサー生島ヒロシさん(65)に話を聞く機会があった。生島さんは震災で、妹の喜代美さん(享年57)を亡くした。喜代美さんは約6カ月間、行方不明で、9月に入って夫の故郷、塩釜市で営んだ葬儀のその当日、宮城県警から「喜代美さんと思われる方が見つかった」と情報がもたらされた。すでに火葬され遺骨になっていたが、DNA鑑定で喜代美さんと判明した。

 生島さんは「不思議なんですよね。半年も見つからなかったのに、葬儀日に親族が集まっているところへ警察の方が訪ねて来たんですから。喜代美が“みんなが集まっているときに”って思ったんですかね」と話した。生島さんは何度も「不思議なんですよ。不思議」と繰り返した。

 生島さんはもうひとつ“不思議な話”を明かしてくれた。震災2日前の3月9日、喜代美さんの夢枕に亡くなった母親が現れたという。喜代美さんの顔をじっとのぞき込んでいたが、突然、その背後が火の海になったという。その2日後、気仙沼の町は地震と津波に伴う大火災に見舞われた。生島さんは後日、喜代美さんの娘から夢の話を聞いた。「何か伝えようとしたんじゃないのかな。こんなこともあるんですね」と語った。

 震災では、東北学院大学の女子大生が卒業論文で「被災地で霊的体験をした人たち」をテーマに選び、それに関連する書籍も出版された。石巻市のタクシー運転手が、夏だというのに厚手のコートを着た女性を乗せ、「南浜まで」と目的地を告げられた。南浜は津波で壊滅的な被害があった場所。女性はいつのまにか後部座席からいなくなっていた。このような“体験談”がつづられたものだ。

 2013年夏には、NHKが「東日本大震災 亡き人との“再会”」と題したNHKスペシャルを放送した。「故人と夢で再会した」「気配を感じた」など被災者の証言を集めたもの。当時、インターネット上には「NHKがオカルト番組か?」などの書き込みがある一方、「Nスペでやるのだから、実際にあるのだろう」という意見もあった。記者も個人的には後者と同じ思いを抱いている。大切な人を失い、もう1度会いたい、と強く願ったとき、そういうことは起こりえるのだと思う。

 震災5年にあたり、スポニチでは約1週間、被災者、被災地の姿を伝える特集を組んだ。実は、「霊的体験」の卒業論文を発表した東北学院大学の女子大生にも取材を申し込んだ。残念ながら、就職先の研修が始まっていて、取材を受けていただくことができなかった。3月11日は来年も、再来年もやってくる。いつか、女性に話をうかがってみたいと思う。

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