町山智浩氏のB・ワイルダー論 敬愛する三谷監督に疑義「なぜ暗さ見ない」

[ 2015年9月13日 21:31 ]

「アパートの鍵貸します」をテーマに講義を行った町山智浩氏

 映画評論家で、公開中の「進撃の巨人 ATTACK ON TITAN」の脚本も手掛けた町山智浩氏(53)が13日、「第三回新・午前十時の映画祭」の特別企画として、1960年の米映画「アパートの鍵貸します」をテーマにした「20世紀名作映画講座」を東京・TOHOシネマズ日本橋で行った。

 アカデミー賞で5部門を制した名匠ビリー・ワイルダー監督の傑作だが、町山氏は「ワイルダーは基本、セックス・コメディーばかり撮っていて、この作品も公開された時は批評家からボロクソに叩かれた」と説明。その理由として、「当時のアメリカの自主規制である、婚外交渉と自殺に大きく抵触していたから。彼はタブーをコメディーの中に入れることによって人気を得た監督。非人間性が裏テーマのひとつで、コメディーの中にも暗さがあるのが特徴」と解説した。

 その背景には、ワイルダーがオーストリア・ハンガリー帝国領(現ポーランド)生まれのユダヤ人で、母親をアウシュビッツで殺された経験があることから「人間に対する絶望があった」と分析。ワイルダーを敬愛する監督として米のキャメロン・クロウ(58)や日本の三谷幸喜(54)の名を挙げたが、「2人は、なぜそのダークな部分を見ないんだろうと思う」と疑問を呈した。

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2015年9月13日のニュース