真矢ミキ、トップ下りた後の意外な苦労「全部断ったら何も来なく…」

[ 2015年5月24日 11:45 ]

「白熱ライブ ビビット」でMCを担当する真矢みき
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 女優の真矢ミキ(51)がなんともイイ感じである。舞台やドラマ、映画もこなし、この春からは初めて朝の情報番組の司会も担当。「普段の自分でやってます」と肩肘張らない番組進行が小気味いい。かつては宝塚歌劇団のトップスター。華やかな人生と思いきや、その笑顔の裏には意外な苦労も隠されていた。

 どこか凜(りん)とした美しさがある。それでいて物腰は柔らかい。出演した映画の役柄からか、「理想の上司」に選ばれるのもよく分かる。きっと順風満帆、いつもスポットライトを浴びた華やかな道を歩んできたのだろう。

 誰にでもある「人生の転機」。この人のターニングポイントはいつだったのか。意外にもそれは宝塚歌劇団を退団した時だった。

 「ここでリセットしないと前に進めないと思ってました。山から一度下りないと次の頂上は見えて来ないんだろうなとトップにいる時からずっと考えてたんです。次へ引きずるのは何か違うと感じてましたね」

 世の中、過ぎ去るものに未練を残す人は多い。だからこそ、この決断は潔い。98年10月、約3年間務めた花組男役トップを退いた。大看板を武器に新たな生活を始めることもできたが、全てを白紙に戻した。熱烈なファンクラブも解散、スターの勲章のひとつ、乗っていた高級車も身の丈に合った小さな車に買い換えた。そして、仕事にもあえてこだわった。

 「“2年間は絶対に舞台には立たない”と決めてました。宝塚出身ですから、最初はミュージカルやお芝居のオファーをたくさん頂きました。全部お断りしたんです。そしたら、いつの間にか何も来なくなりましたね」

 予想以上に厳しい現実。そんな中、テレビ番組で世界のユニークな民族を訪ねるドキュメンタリーに出演。案内役と思っていたが、彼女の役割は“タバコの箱”。現地の人たちと平均的な日本人の背丈を比べるだけの存在だった。折れそうになった心の支えとなったのは“ヅカ生活”で学んだことだった。

 「宝塚にいた時からとにかく目の前のことを全力でやろうと決めてました。自分の中でこれだと思うこと、ダンスでも歌でもいいんです。いつもベストを尽くしていれば必ず誰かが認めてくれると信じてました」

 母親の勧めで受けた宝塚音楽学校。入学試験の成績は、39人中37番。同期には黒木瞳、涼風真世がいた。頂点に向け着実に階段を上る仲間をよそに、周囲を気にせず自分の目標をクリアすることだけに専念。すると自然に肩の力が抜けた。伸び伸びとしたその姿が目に留まり、ついにセンターへの扉が開けた。

 「私はみなさんが思うほど上手な生き方はできないですね。ボコボコに落ち込むこともよくあります。でも、器用に生きていこうとは思ってません。その方がいろいろな人の気持ちが見えていいと思うし」

 山頂への道のりは決してひとつだけではない。3月からTBSの情報番組「白熱ライブ ビビット」で司会に挑戦中。真摯(しんし)に生きることを素敵に楽しむ心豊かな人である。

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