お笑い不況下の「IPPON」の役割「若手発掘」「日本を元気に」

[ 2015年5月23日 09:41 ]

若手育成は「IPPONグランプリ」の役割の1つ。23日放送の第13回大会はトレンディエンジェル・斎藤司(左)が出場する(中央は板尾創路、右は千原ジュニア)

 23日午後9時から第13回大会が放送されるフジテレビ「IPPONグランプリ」。年2回の風物詩、大喜利の祭典として存在感を示している。お笑い番組が減る“不況”の中で「IPPONグランプリ」が果たす役割は何なのか。演出を手掛ける竹内誠プロデューサーは「新しい才能の発掘、若手芸人の育成」「閉塞感のある日本の社会を明るくすること」と番組の意義を語った。

 「お台場笑おう会」から招待された10人の芸人がA・Bブロック5人ずつに分かれ、さまざまなお題に回答。Aブロックの審査はBブロックの芸人が行う。採点ボタンは1人2個。5人全員が2個のボタンを押し、合計10点満点になると「一本」。各ブロック4問(1問につき制限時間7分)出題され、一本の数を競う。両ブロックの一本最多獲得者が決勝(審査は残る芸人8人、16点満点)で激突。「芸人大喜利王」を決める。

 番組は2009年12月に深夜枠でスタート。第5回(11年6月)から「土曜プレミアム」枠、年2回放送が定着している。入れ替わるように、ネタ番組として“お笑いブーム”を支えた日本テレビ「エンタの神様」が2010年3月、フジテレビ「爆笑レッドカーペット」が10年8月にレギュラー放送を終了した。

 竹内プロデューサーは「また『ネタを見たい』という時代が来るといいなと思いつつも、今回の冷却期間は少し長いという気はしています」と、お笑い番組の“衰退”を実感。「自然の定理として仕方ないところはありますが、各局、力のある芸人さんで番組が回っています。若手が出る番組が少ない。これが長くなると、若手がますます育ってこないじゃないですか。なかなか視聴率が取れない、番組が生まれない、若手が育たない。負のスパイラルに陥っていると思います。でも、これは作り手が勇気を持ってやっていかないといけない。新しい才能が生まれてこないのは、怖いことだと思います」と危機感を口にした。

 芸人は俳優業や情報番組のコメンテーターとしても重宝がられるが「それは1回、売れた人。世間に知ってもらう場所が必要なんですよね」と続けた。

 第7回からは「IPPONスカウト」を制した人が本戦に進む“ブレーク前の若手枠”を設置。第7回(12年4月)ずん・飯尾和樹(46)、第8回(12年11月)もう中学生(32)、第9回(13年5月)阿佐ヶ谷姉妹・渡辺江里子(42)、第10回(13年11月)シャンプーハット・こいで(39)、第11回(14年5月)ダブルブッキング・川元文太(40)、第12回(14年11月)女優・伊藤修子(38)、そして今回はトレンディエンジェル・斎藤司(36)が選ばれた。

 「ゴルフの認定プロのように、売れた芸人しか出られない番組ばかりでは、お笑いの将来がないと思うんです。作り手は、若手が活躍できる場をどれだけ作ってあげられるかが大事。人材育成と似てませんか?とりあえず1回やらせてみることが、その人を育てるじゃないですか。今、テレビ局全体が保守的、臆病になっているから、なかなか挑戦しないんですよね。若手を使っていかないと、リスクを冒さないと、次がない。実力者ばかりを集めれば、視聴率も取れるし、スポンサーも集まるかもしれませんが、お笑い高齢化につながりますよ」

 第12回に出場した劇団「拙者ムニエル」の女優・伊藤修子が「えっ?この人が出る?」という代表例。他の出場者や視聴者に刺激を与え、番組を新陳代謝する。

 さらに、竹内プロデューサーは視聴者が考えた一般回答に“希望”を見いだす。「こんなに世知辛い世の中ですが、一般回答を見ていると、アホな人がいっぱいいるな、と。日本は大丈夫だなと確認できるんです」と思わず笑みがこぼれ、表情が緩んだ。関西出身の竹内プロデューサーは褒め言葉として「アホ」と表現した。

 「何か縮こまっている今の世の中、大喜利で普段とは全く違う脳を使うのは、大きく言うと日本のためになっているんじゃないかと思えるぐらい。12歳や15歳の子がおもしろい答えを送ってきてくれるのが頼もしいです。こういう子たちが社会人になるのが楽しみ。こういうユニークなことを考えられる人たちが日本を背負ってくれたら、うれしいですよね。そういう意味でも番組は続けていきたいと思います」

 「答えのないことを一生懸命考える。そのバカバカしさが素晴らしい」――とは大会チェアマンを務めるダウンタウン・松本人志(51)の名言。たかが、大喜利と言うなかれ。お笑いが日本を元気にする。竹内プロデューサーには、その手応えが確かにある。

 【23日放送 第13回大会の出場者】
 <Aブロック>バカリズム(39)ネプチューン・堀内健(45)チュートリアル・徳井義実(40)板尾創路(51)狩野英孝(33)
 <Bブロック>博多華丸・大吉、博多大吉(44)オードリー・若林正恭(36)ロバート・秋山竜次(36)千原兄弟・千原ジュニア(41)トレンディエンジェル・斎藤司(36)

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