松方弘樹が明かす「仁義なき戦い」秘話 「おまえそれ面白いなぁ」

[ 2014年12月2日 06:20 ]

04年、菅原文太さん(中央)と千葉真一(左)と「猿飛佐助 闇の軍団」舞台あいさつを行う松方弘樹

 菅原文太さんの突然の悲報は、映画界だけでなく各界に衝撃を走らせた。「仁義なき戦い」シリーズなど数十本の作品で共演した俳優松方弘樹(72)は、「大きな男。近くて遠い先輩だった」と振り返り、涙を浮かべた。

 松方は都内で本紙の取材に「“仁義なき戦い”の文ちゃんが、日本映画界に現代やくざ路線を定着させた。おかげで、追いつけ追い越せでここまで来た。近くて遠い、届きそうで届かない先輩だった」と瞳を潤ませた。

 「仁義なき戦い」では73年の第1作に「坂井の鉄ちゃん」こと坂井鉄也役で出演。文太さん演じる広能昌三と血で血を洗う内部抗争を生々しく演じた。74年「…頂上作戦」では藤田正一、同年「…完結篇」では市岡輝吉と、役柄を変えて3作に出演。「一つの物語で3人を演じさせてもらって…。むちゃなキャスティングを平然と受け止めてくれたのが、文ちゃんだった。大きな男だった」としみじみと話した。

 撮影を離れても「自分が父を亡くしたり、離婚したりといろいろあった時期だった。口数は少ないが、それをさりげなく応援してくれた」。夜は2人で飲み歩き、「そのとき、演技の話は一切しません。酔いつぶれた文ちゃんを、よくホテルまで送っていったりしました」と振り返った。

 思い出のシーンは、第1作で広能が出所し、坂井のアパートを訪ねる場面。「広能が背広の内ポケットに手を入れる。僕は拳銃を取り出すと思い、逃げ惑う。実はタバコを出すだけなんだけどね。でも最初に部屋をはいずり回って逃げたとき、文ちゃんは“おまえ、それ面白いなぁ!”と凄く褒めてくれた」と目を細めた。

 シリーズが終わり、文太さんから「俺はもうそういう役やらないから。おまえはまだやるだろ」とサングラスを10本ほどもらったという。「俺の好みは垂れ下がったレンズなんだけど、正反対の好み。結局使えるのが1、2本しかなかった」と笑ったが「結局、それが形見になっちゃった」と寂しげな表情を浮かべた。

 悲報は1日午前中に接し、「最後に電話したのが3年前。仕事やってくださいよって言ったら“ああ、もういいよ”と言っていた。もう何作品か見たかった」と悔やんだ。「高倉健さんが亡くなって18日でしょ。何でこういうの続くのかな…。元気でいなきゃ。本当にやだ」と話すと、目頭の涙を拭った。

 ▽仁義なき戦い 戦後の広島で実際に起こった暴力団の抗争事件を題材にした作家・飯干晃一氏の小説。組織の容赦ない裏切りに翻弄(ほんろう)される組員の姿を描く。深作欣二監督により菅原文太さん主演で73年東映で映画化され大ヒット。シリーズ化された。深作監督がメガホンを取ったのはオリジナル5部作と「新仁義なき戦い」3部作。

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