「HERO」セットに隠された工夫!テレビサイズの変化に対応

[ 2014年8月11日 08:00 ]

13年ぶりに復活した「HERO」。美術・セットには細かい工夫があった

 「SMAP」の木村拓哉(41)が主演を務め、13年ぶりに復活したフジテレビ「HERO」(月曜後9・00)。2001年から流れた歳月の裏には、美術・セットの変化があった。同局の看板枠「月9」ドラマの数々を手掛けたデザイナー・荒川淳彦氏(61)がその工夫を明かした。

 前シリーズ、テレビ画面の縦横比は3:4。今シリーズは縦横比9:16のワイドテレビに。テレビ画面は「横に長くなった」のだ。

 例えば、物語の中心となる東京地検城西支部。川尻部長(松重豊)の部屋を正面に、左奥に田村検事(杉本哲太)の部屋、右奥に馬場検事(吉田羊)の部屋、左手前に宇野検事(濱田岳)の部屋、右手前に久利生検事(木村拓哉)の部屋がある。

 川尻部長の部屋を真正面にしたメーンのカメラポジションで「この5つの部屋のドアが気持ちよく1つの画面に収まる」ことが求められた。上からの俯瞰(ふかん)のカメラでも同様だった。

 前シリーズと同じ横幅のセットを今のテレビサイズに使うと「要素が中心に寄ってしまいます」。そのため、10~20%、横の寸法を長くした。テレビのサイズに合わせ、画面の構図をデザインしたのだった。

 今シリーズの前、07年には映画版が製作された。映画版の縦横比は1:2・2~2・3。今シリーズより横長だった。荒川氏は「映画版の経験値があったので、今回は違和感なく取り組めました」と事もなげに言うが、そこには“匠の技”があった。

 今シリーズ、1人1人の検事の部屋も広くしたが「4畳半の部屋は4畳半。あまり広くしてしまって、6畳に見えてしまってはいけません。そこは苦労しましたね」。検事の部屋を広げるのは5~8%に抑えた。

 特に主人公・久利生検事の部屋は「前シリーズの屋根裏部屋の感じがなくなるため、今シリーズもあまり広くしていません」とこだわった。

 田中要次(51)がマスターを演じるおなじみのバー。前シリーズは横のカウンターの後ろがすぐ壁だったが、今シリーズはお酒の棚を置き「空間を感じる設計」に。荒川氏は「事務官たちが愚痴をこぼす場所として、今シリーズから新設した小さな給湯室も見どころです」と語る。

 ストーリーや新旧メンバーの熱演はもちろん、細部に手が行き届いた美術・セットにも注目だ。

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2014年8月11日のニュース