小三治、人間国宝に 一番の勲章は「客さまが喜んでくださること」

[ 2014年7月19日 05:30 ]

人間国宝となる柳家小三治

 文化審議会(宮田亮平会長)は18日、重要無形文化財保持者(人間国宝)に古典落語の柳家小三治(74)ら7人を認定するよう下村博文文部科学相に答申した。政府は9月にも答申通り告示する。

 古典落語からの人間国宝は、師匠でもある故五代目柳家小さんさん、桂米朝(88)に続いて18年ぶり3人目。小三治は会見で「とてもうれしい」と笑顔。連絡を受けた瞬間について激震が走ったと振り返りつつ、「賞や肩書にあまり値打ちを感じないタチで…」とはにかむ場面も。一番の勲章は「寄席や落語会に来たお客さまが喜んでくださること」という。

 数日前に小さんさんの自宅を訪れ、仏壇の前で「こんなことになっちゃいましたよ」と報告。「もし師匠がいたら“おお、そうか。もらやいいんじゃないか”の一言だったでしょう」。晩年も芸を高め続けた師匠のような老い方をしたいと話した。

 高校時代からラジオの素人寄席で注目され、高校卒業後の1959年に小さんさんに入門。絶妙な間合いで、江戸時代の長屋に暮らす町人や侍などを丁寧に描写し、現役最高峰の名人としての地位を築いてきた。俳句やスキーなど多趣味で知られ、噺(はなし)の枕が長く「枕の小三治」との異名も持つ。

 6月までは落語協会会長として若手の育成にも尽力。自身も過去に挫折し、落語をやめたいと思うことがあったが「それでも結局やめなかったのは、人生を引き換えにしてもいいと思うほど好きな落語だったから」。言葉に熱を帯びながら、「一番いいと思える道をいつまでも追い求めていきたい」と精進を誓った。

 ▼桂米朝(88) あーそうですか。めでたいこってすなぁ。小三治君は東京やなぎ句会の同朋でもありましたんや。彼が人間国宝になったとは、ホンマに喜ばしい限りです。

 ◆柳家 小三治(やなぎや・こさんじ、本名・郡山剛蔵=こおりやま・たけぞう)1939年(昭14)12月17日、東京都新宿区生まれ。69年に真打ちに昇進し十代目柳家小三治を襲名。ひょうひょうとした語り口でおかしみを醸し出す話芸が評価され、04年に芸術選奨文部科学大臣賞受賞。

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