原田芳雄さんしのび長野で大鹿歌舞伎

[ 2011年10月16日 18:50 ]

 7月に亡くなった俳優原田芳雄さんが主演し、遺作となった映画「大鹿村騒動記」の題材として取り上げられた大鹿歌舞伎の秋の定期公演が16日、長野県大鹿村で開かれた。

 会場の村立大鹿中学校の体育館には、観光客や村民ら約1500人が詰め掛けた。「ゆみちゃん、待ってました」と役者に声をかけたり、役者が衣装の着脱に手間取ると、笑いが起こったりした。静岡県磐田市の農業山下隆さん(70)は「山の中でこんな文化が育っているなんて信じられない」と驚いていた。

 弾き語りをする太夫役で、原田さんに歌舞伎の振り付けを指導した片桐登さん(83)は舞台に臨む前「練習が終わるたびに頭を深々と下げる、腰の低い方だった。心から追悼したい」と語った。

 大鹿歌舞伎は村に300年引き継がれる国の選択無形民俗文化財。現在は毎年春と秋に1日ずつ、定期公演している。原田さんは地芝居に役者人生の原点を感じて映画化を企画。村民約1200人のうち約300人がエキストラ出演した。

 7月の映画公開で注目されるようになり、お盆には1日300人と例年の10倍以上の観光客が村を訪れた。村は初の追加公演を今月30日に行う。

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2011年10月16日のニュース