海老蔵 傷完治に半年「役者には致命的なケガ」

[ 2010年11月30日 06:00 ]

 【海老蔵顔面骨折】29日午後5時ごろから始まった市川海老蔵の手術は、口腔(こうくう)内からメスを入れ、顔表面に傷はつけない形を選んだとみられる。ただ、形成外科の専門家などからは「顔面まひが残ると歌舞伎役者として致命的」との声も上がっている。

 海老蔵が受けた「上顎洞(じょうがくどう)根本術」は、口腔内から患部にアプローチする手術。役者として顔の表面に傷をつけないための手術法だ。一般的には蓄のう症の手術などの際に行われ、骨折などの場合は骨のずれを治す。
 東京世田谷区の山本クリニック(脳神経外科、形成外科)の山本博昭院長は「顔の表面に傷をつけない長所はありますが、一般的にこの方法は腫れが強く、入院も長引く」と解説。「腫れは月単位で残るし、手術で神経を傷つけると顔面まひが出る場合もあるので非常に高い技術が必要」とも述べ、難しい手術だという。
 術後は、出血を止めるため口腔内に物を詰め、完治まで数カ月は必要。合併症として10年後ぐらいに、取り切れなかった血液や膿(うみ)の袋ができ、再手術の必要がでる場合もある。
 また、日常生活には1カ月ほどで戻れるが、成田屋のみが行う「にらみ」などの演技について「痛みやしびれを我慢すればできないことはないが、大変つらいでしょう。プロの役者の仕事に復帰するには、一般的には3~4カ月。傷が完全に治るには半年」(久保田潤一郎クリニック院長)との指摘も。
 「術後まひが出るかどうかは分からない。個人的には役者さんにとっては大変つらい、致命的なケガだと思う」(山本院長)との見方もある。

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2010年11月30日のニュース