[ 2010年11月27日 06:00 ]

読売日本交響楽団

 交響曲第8番は07年6月にN響定期公演でも取り上げているが、この時はまさに正統派の堂々たるブルックナーを聴かせてくれた。ひとつひとつの音や旋律を丁寧に扱い、深い呼吸感を保ちながら大きな響きの構造物を構築していく。信仰と音楽に生涯を捧げたブルックナーの精神と尾高の芸術に対する誠実な姿勢が見事にシンクロし、心に染み入る演奏に仕上がっていた。さらにブルックナーに関しては読売日響も今年、前常任指揮者スタニスラフ・スクロヴァチェフスキの棒で8番(3月)、7番(10月)を演奏し各方面から絶賛の嵐を巻き起こしたことも記憶に新しい。そんな両者による8番、この作曲家のファンならずとも興味が尽きない公演といえよう。

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2010年11月27日のニュース