押尾被告に裁判長「自己保身から必要な保護しなかった」

[ 2010年9月17日 17:08 ]

実刑判決が言い渡された押尾学被告

 合成麻薬MDMAを一緒にのんで急変した女性を救命しなかったとする保護責任者遺棄致死と、麻薬取締法違反(譲渡、譲り受け、所持)の罪に問われた元俳優押尾学被告(32)の裁判員裁判で東京地裁は17日、「致死」の部分だけを認めず、懲役2年6月(求刑懲役6年)の判決を言い渡した。

 山口裕之裁判長は「芸能人としての仕事、自らの家庭を失いたくないという自己保身のために必要な保護をしなかった」と実刑の理由を挙げた。
 事件は昨年8月2日、東京・六本木ヒルズのマンションで発生。飲食店従業員田中香織さん=当時(30)=は午後5時50分ごろに容体が急変し、死亡した。主な争点は(1)MDMAを持参したのはどちらか(2)救命は可能だったか―の2点。
 判決はまず「田中さんは被告が渡したMDMAをのんで急性中毒症状になった」と被告の譲渡を認定。さらに「被告以外に田中さんの生存に必要な保護をすべき人はいなかったのに、119番しなかった」と指摘。
 一方で「直ちに119番したとしても、救命が確実だったことが合理的な疑いを入れない程度に立証されているとはいえない」として放置と死亡との因果関係を否定、保護責任者遺棄罪にとどまるとした。
 検察側は田中さんの死亡推定時刻を6時47~53分ごろとみて「仕事や家族を失うと考えて119番しなかった。専門医に治療させれば救命できた」としていた。
 弁護側は急変から数分~約10分後に死亡したと反論。「田中さんは自分で持ってきたMDMAを自発的にのんだ。急変後に被告は必死に心臓マッサージと人工呼吸をした」として、遺棄致死と譲渡の二つの罪について無罪を主張していた。

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2010年9月17日のニュース