映画シナリオ出版拒否は合法…絲山秋子さんが勝訴

[ 2010年9月10日 17:10 ]

 芥川賞作家絲山秋子さんの小説を映画化した作品「やわらかい生活」(2006年公開)のシナリオ出版を拒否したのは不当として、脚本を手掛けた荒井晴彦さんと「シナリオ作家協会」(東京)が絲山さんに対し、出版妨害禁止や1円ずつの損害賠償などを求めた訴訟の判決で、東京地裁は10日、請求を棄却した。

 岡本岳裁判長はまず、絲山さんから著作権の管理を委託された雑誌社が、映画制作会社に原作の使用を許諾した契約の「一般的な社会慣行並びに商慣習に反する許諾拒否はしない」との規定は「契約当事者ではない荒井さんらには適用されない」と判断。

 その上で「脚本執筆や映画の公開、DVD化などをすべて了解しながら、出版だけを拒むのは理解できない」との荒井さん側の主張を「映像化に関する許諾と活字化を同列に扱うことはできない」と退けた。

 判決によると、荒井さんは絲山さんの小説「イッツ・オンリー・トーク」を脚本化。協会が年ごとの優秀な10作品による「年鑑代表シナリオ集」の2006年版や07年版への収録を求めたが、絲山さん側は「原作のストーリーから大きく逸脱している」などの理由で拒んだ。

 荒井さんと協会は「金額の問題ではない」として1円ずつを請求していた。

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2010年9月10日のニュース