小百合が独語あいさつ、山田監督に「特別功労賞」

[ 2010年2月22日 06:00 ]

「おとうと」に拍手の嵐!観客に手を振る山田洋次監督と吉永小百合

 【ベルリン国際映画祭】40年ぶりという寒波に凍えるベルリン。市内の各所に雪が解けないまま残っているが、そんな寒さも吹き飛ばす熱い夜だった。1600人を超える観客が「OTOUTO(Der Bruder)」に拍手を送り、目頭を押さえる客の姿も1人や2人ではなかった。

 この反応に山田監督は「日本でもこんな拍手はもらえない」と興奮。吉永も「俳優を続けてきて良かった」と口にし、鹿児島での落語会のために参加できなかった“弟”笑福亭鶴瓶(58)にも「この温かい歓迎を報告します」と約束した。
 赤紫に流水模様の訪問着姿。上映後のあいさつには、2日間とはいえ語学学校に通って必死に勉強したドイツ語で挑み、「Guten Abend Berlin!(ベルリンの皆さま、こんばんは!)」と口火を切ると観客も歓声で応えた。
 姉と弟の再会と別れを通して家族の絆(きずな)を描いた作品は、市川崑監督の同名映画にオマージュをささげた一本。08年2月、山田監督と吉永は「母べえ」を引っ提げベルリン入り。そこに届いたのが市川監督の悲報。それだけに今回はいろいろな思いが2人の胸に去来した。
 上映に先立って行われた山田監督への特別功労賞(ベルリナーレ・カメラ)授与式。「ダウンタウン・ヒーローズ」(88年)をはじめ「たそがれ清兵衛」(02年)など7度目の参加となった山田監督を称えるセレモニーだ。市川監督(00年)、熊井啓監督(02年)に続いて日本人3人目の栄誉。山田監督は「天国にいる市川監督に“僕はあなたと同じ賞をいただきました”と報告します」と感無量の表情。吉永も「下馬評が高かった“母べえ”は無冠に終わり、映画の世界に入って一番悔しい思いをしましたが、その分、山田監督のセレモニーに立ち会えた喜びをかみしめています。私にとって市川監督は師匠、山田監督は先生。おふたりが賞を贈られたことは生徒として、弟子として本当にうれしい」と目を細めた。

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2010年2月22日のニュース