ワッハ上方“条件付き”で移転見送り…橋下知事が表明

[ 2009年12月28日 10:32 ]

ワッハ上方の移転見送りについて記者会見する大阪府の橋下徹知事(右)と通天閣観光の西上雅章社長

 大阪府立上方演芸資料館(ワッハ上方、大阪市中央区)を観光名所・通天閣(浪速区)に移転する考えを打ち出していた橋下徹知事は28日、移転を見送り、当面は現地で存続させることを表明した。同日午前、通天閣を運営する通天閣観光の西上雅章社長を訪れて伝え、謝罪した。

 現在年間約5万人の入場者を2011年度に8倍の40万人に増やすことが条件。橋下氏は、目標が達成できない場合は閉館も視野に入れた対応を取る意向を示した。
 ワッハ上方は現在、特定非営利活動法人(NPO法人)が運営しているが、入居ビルを所有する吉本興業が11年度から2年間、運営に携わる意向を示している。
 記者団の取材に応じた橋下氏は「移転も素晴らしい案だが、吉本興業が本気で運営に携わるという意気込みで判断した」と説明。一方で「(目標を達成できなければ)資料は引き揚げる。有無を言わせない」と述べた。
 西上社長は「終わり良ければすべて良し」と述べ、移転見送りを了承。橋下氏は「依頼があればワッハ上方の展示していない資料を貸し出す」と提案し理解を求めた。
 橋下氏は7月、府の年間負担額が約4億円と高いことなどから移転を表明。しかし吉本興業が今月、府の負担を賃料1億円だけとする案を提示していた。
 移転案は、年間100万人以上の通天閣の来館者が立ち寄って演芸文化に触れられることが利点。だが現在運営しているNPO法人「ニューウエーブ大阪」が、移転の場合は一部資料の提供を差し控えると主張。展示の質低下の懸念などから文化人や漫才師からも現地存続を求める声が出ていた。

 ▼大崎洋吉本興業社長の話 上方演芸文化の維持・発展への協力の機会がいただけたことを感謝するとともに、目標の達成に向けて努力していく。大阪府、各放送局との協力体制を深め、新しい、府民に愛されるワッハ上方を目指して協力していきたい。

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2009年12月28日のニュース