森繁さん名セリフ「おばはん、頼りにしてまっせ」

[ 2009年11月10日 21:28 ]

 「森繁節」で親しまれ、国民的な人気を集めた森繁久弥さん。喜劇からシリアスな芝居まで、その芸域は幅広かった。

 大学を中退して、東宝劇団に入ったものの、やらされたのは馬の脚など。さまざまな劇団を転々とした後、アナウンサーとして旧満州に渡り、命懸けで帰国した戦後は、ムーランルージュなど軽演劇時代を経験した。
 注目を集めたのは何と言っても、淡島千景と共演した映画「夫婦善哉」(1955年)。ダメ人間でいながらとぼけていて、どこか憎めない独特の味で人気を集め「おばはん、頼りにしてまっせ」のせりふは流行語に。三木のり平さん、小林桂樹さんらに囲まれた「社長」シリーズは、高度成長の日本を象徴する人気作品だった。
 一方、有吉佐和子さん原作の「恍惚の人」(73年)で演じた老人役では迫真の演技を見せ、喜劇ばかりでない俳優としての大きさを示した。
 舞台への情熱は人一倍。ロングランとなったミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」では、原作に森繁さんらしさを加味した独特の主人公、テヴィエ像を確立、日本の演劇史に残る名舞台に立った。

 ▼女優淡島千景の話 「夫婦善哉」をはじめ、映画で一番相手をした俳優でした。大変まれな才能を持っていて、立派な方でした。2001年の「Last Dance―離婚式―」という映画に出演した時は「淡島さんが出ているなら、出るよ」と言ってくれた。体調が万全ではなく足もしっかりしていなかったのに、本番はビシッと決めて、「役者とはこういう人のことだな」と感心しました。もっと長生きして、お話を聞かせていただきたかった。話が通じる方がだんだん少なくなってしまい、ただただ残念です。

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2009年11月10日のニュース