“大俳優”森繁久弥さん 96歳の大往生

[ 2009年11月10日 19:40 ]

森繁久弥さん

 映画「夫婦善哉」や舞台「屋根の上のヴァイオリン弾き」をはじめテレビ、ラジオなどでも活躍、日本を代表する俳優で大衆芸能の分野で初の文化勲章を受章した森繁久弥(もりしげ・ひさや)さんが10日午前8時16分、老衰のため東京都内の病院で死去した。96歳。大阪府出身。葬儀・告別式の日取りは未定。喪主は次男建(たつる)氏。

 早稲田大商学部に入学したが、演劇熱が高じて1936年に中退。東宝劇団などを渡り歩いた。NHKのアナウンサー試験に合格して旧満州に渡り新京放送局に勤務した。
 戦後は軽演劇を経て映画界入り。大阪の「法善寺横丁」を舞台にした人情ものの名作「夫婦善哉」(55年)では金持ちのぐうたら息子を味わい深く演じ、大ヒットした「社長」シリーズ、「駅前」シリーズなどでは卓越した喜劇俳優ぶりを示した。
 舞台でも演技派として活躍。主演のミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」は、67年の初演から上演900回を記録した。
 「七人の孫」などのテレビドラマやラジオ番組でも人気を集め、57年から晩年まで出演を続けたNHKのラジオドラマ「日曜名作座」は収録2千回を超えた。
 自ら作詞・作曲して歌った「知床旅情」は70年代、加藤登紀子さんの歌で大ヒット。ひょうひょうとした独特の語り口、節回しは「森繁節」と親しまれた。
 「あゆみの箱」の会長を務めるなど慈善活動にも尽力。日本俳優連合理事長として大衆芸能の発展と俳優の地位向上に努め、後輩の俳優たちから「おやじ」と慕われ“森繁ファミリー”と呼ばれた。
 文化功労者に選ばれた後、91年に文化勲章を受章。文筆にも才能を発揮し、著書に「もう一度逢いたい」「森繁自伝」などがある。

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2009年11月10日のニュース