美術館で対決!“羽生キラー”深浦が挑戦

[ 2009年1月17日 06:00 ]

大塚国際美術館のスクロヴェーニ礼拝堂で健闘を誓い合う羽生善治王将(右)と深浦康市王位

 羽生善治王将(38)に深浦康市王位(36)が挑戦する第58期王将戦7番勝負(主催スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社、協賛大塚国際美術館)は、17日、徳島県鳴門市「大塚国際美術館」で開幕する。羽生王将、王将戦初登場の深浦王位の2人は16日に現地入り、前夜祭に出席し「力いっぱい、いい将棋を見せたい」と口をそろえた。

 5連覇通算12期獲得を狙う羽生と充実著しい深浦の対戦。深浦は近年「羽生キラー」の名を高めている。昨年9月に羽生の挑戦をフルセットの末に退け防衛した第49期王位戦で、その印象を強めている。
 激闘の期待が高まる中、羽生は「深浦王位は充実している様子ですね。気持ちも新たにしっかり調整していいコンディションで臨む。年が変わったこともあり、一年を占う試金石になりそう」と静かな中にも闘志をみなぎらせた。昨年末の竜王戦で3連勝4連敗という将棋界初の出来事を経験。「不調」を取りざたされもしたが「もう終わったことで、どうしようもない。あの経験を今後どう生かせるかです」と気持ちは切り替わっている。
 4勝2敗で挑戦権を獲得した深浦。出だしで1勝2敗と苦しんだが「後半の戦いで余計なことを考えず開き直った感じでリズムに乗れた」と振り返る。そして「羽生さんとは読み筋が合う気がします。ただ、羽生キラーと呼ばれることには慣れていません。僕にはまだ、その資格はないと思います」と口元を緩めた。対戦成績は接近している。羽生とこれだけ戦いながら、互角と言える成績を残しているのは深浦だけだ。「集中力を高めて、今の自分にできることをしていきたい」と表情を引き締めた。王位に続いて王将を手に入れられれば、その存在感は高まる。勝負に熱が入るのは当然。ファンにはたまらない緊張感でいっぱいだ。

 ◆羽生 善治(はぶ・よしはる)1970年(昭45)9月27日、埼玉県所沢市生まれの38歳。85年将棋界3人目の中学生プロに。89年第2期竜王戦で島朗を破り初タイトル獲得。96年2月、史上初の7冠全制覇を達成。タイトル獲得は計71期。

 ◆深浦 康市(ふかうら・こういち)1972年(昭47)2月14日、長崎県佐世保市生まれの36歳。84年6級で故花村元司九段門下。91年四段、08年九段。96年第37期王位戦でタイトル初挑戦。07年第48期王位戦で羽生を破り初タイトルを奪取。第66期順位戦でA級昇級。

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2009年1月17日のニュース