放送ジャーナリズム確立させた筑紫さん

[ 2008年11月7日 19:54 ]

市民と対話交流するクリントン米大統領(当時)の左で司会を務める筑紫さん=98年11月

 7日に死去したジャーナリスト筑紫哲也さんは、ニュースキャスターとして放送ジャーナリズムの確立に力を注いだ一方、商業主義に傾き肥大化したテレビの存在に危機感を抱き続けた。

 2008年5月、筑紫さんはTBS系「筑紫哲也NEWS23」での活躍が評価され、08年度の日本記者クラブ賞を受賞した。抗がん剤の影響もあって、授賞式には帽子をかぶって出席。「放送ジャーナリズムが認知され、大変うれしく思います」と笑顔を見せ、持ち前のユーモアのあるスピーチで会場を沸かせた。
 新聞、雑誌、テレビとメディアの第一線を渡り歩いた筑紫さん。自身を「漂流者」と表現し「テレビはジャーナリズムじゃないんじゃないかという意地悪な視線を背中に受けながらやってきた」と、テレビと共に過ごした後半生を振り返った。
 常々「すごい可能性があるメディア。新聞ほど中央集権的でもない」とテレビの魅力を語りながらも、視聴率競争に明け暮れる現実には冷めた目を向けていた。テレビを身動きの取れない巨人に例え「自分の果たしている役割にどこまで危機感を持っているのか」。内部に向けた言葉はメディア界全体に鳴らした警鐘でもあった。

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2008年11月7日のニュース