緒形幹太、直人「急な話で3日間泣き通し」

[ 2008年10月8日 06:00 ]

会見する長男・緒形幹太(右)と次男・緒形直人

 71歳で急死した俳優緒形拳(おがた・けん、本名明伸=あきのぶ)さんの葬儀が7日、都内で近親者だけで営まれた。所属事務所は、死因が肝がんによる肝臓破裂だったことを公表。葬儀後、ともに俳優の長男幹太(41)と年子の次男直人(41)が会見。「あまりにもでかい存在だった。俳優としても父としても尊敬している」と悲しみに目を潤ませた。

緒形拳さんが急死…先月末には元気な姿も

 都内の斎場で密葬を終えた直人は会見で「気が気でなかった。僕らも急な話で3日間泣き通しなものですから…」と声を震わせた。冒頭の経過説明では気丈に対応していたものの、こみあげる父への思いを抑えきれなかったのだろう。枯れるほど泣いたはずの目はみるみる涙であふれた。
 2人の説明によると、8年ほど前から肝炎を患い、5年前に肝がんに移行。4日夕に体調が悪化して緊急入院し、肝がんによる肝臓破裂で出血したことが判明。翌5日に手術したものの、深夜に家族に見守られ静かに息を引き取った。
 入院も手術も拒み、体調が悪くなると点滴を受けに通院し、食事療法に励んだ。幹太は「病気を仕事関係者には絶対に言うなと言われていた」と説明。直人は「仕事に意欲的で病気に勝ちたいという強い思いがあった。オレは絶対大丈夫だと言っていた」と続けた。
 会見場には書家としても知られた緒形さんが書いた「不惜身命(ふしゃくしんみょう)」の4文字の額縁と、祭壇脇にも置かれた「不羨富 不憂貧」の屏風が飾られた。幹太は「とにかく仕事人間。仕事をしている時が一番うれしかったんじゃないですか」。遺作となった新ドラマ「風のガーデン」(フジテレビ、9日スタート、木曜後10・00)の全仕事を終えてから5日後の他界が、父の残した文字と重なる。
 悲喜劇を同時に体現できた名優。その背中を追うように役者の道へ進んだ2人の息子。直人は「あまりにもでかい存在。かっこいい、温かい男です」と言うと、涙をこらえるのが精いっぱい。一緒に美術館へ行く約束をしていたという。
 午前11時からの葬儀には「風のガーデン」の脚本家の倉本聰氏(73)をはじめ、藤村志保(69)、高橋克典(43)、竹野内豊(37)、安藤和津(60)ら親交のある俳優が訪れた。棺には台本数冊と大好きだったたばこが納められた。戒名は「天照院普遍日拳居士」(てんしょういんふへんにちけんこじ)。幹太は「後日、しのぶ会をやります」と明言。献花台を設け、ファンがお別れする機会をつくる。

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2008年10月8日のニュース