津川雅彦 親友の死に憔悴「名優らしい最期」

[ 2008年10月8日 06:00 ]

悲しみをこらえながら会見する津川雅彦

 緒形拳さんの突然の悲報は芸能界に衝撃を走らせた。臨終に立ち会った盟友の津川雅彦(68)は「7人いる孫が全員そろうのを待って静かに逝った。見事な名優らしい最期だった」と涙。カンヌ映画祭で最高賞に輝いた「楢山節考」で母親役を演じた坂本スミ子(71)は「息子が先に逝ってはいけない…」と悔しそうに唇をかんだ。

 東京・江東区の湾岸スタジオで7日午後7時半から会見した津川の目は真っ赤だった。
 入院先の栃木県の病院に駆けつけたのは5日午後7時ごろ。関係者から容体急変の知らせを受けてだった。「こんなに急に亡くなるとは思ってもいなかった。孫がそろうのを待って静かに逝った。みんなに気を使って死んでいったんだ。最後の10分間は、虚空をにらみつけていた。執念と覚悟を感じた」と臨終の様子を明かした。
 緒形さん主演の人気ドラマ「必殺仕掛人」(72年)にゲスト出演して以来の仲。「マキノ雅彦」の名前で初めて映画監督に挑んだ06年の「寝ずの番」では、緒形さんにタイトル文字を依頼。快諾した緒形さんは30枚も40枚も丹念に心を込めて書き上げ、その中から津川が選んだ1枚がスクリーンやポスターに使われた。
 「シャイで人付き合いが苦手だったから、3年くらい前に合コンに誘った。一度は“うん”と言ったんだけど、合コンの前の日に“悩んだけどやっぱりオレは無理”と言ってきた。あいつらしいけど、一度“うん”と言ったのは成長だった」。緒形さんらしいエピソードも打ち明けた。
 会見に先立ち自身のブログを更新。「“仕事!全部終わったのかい”と聞いたら、“終わったよ!”と言うから“さすがのモンスターも、仕事が終わったから気が抜けたな?”と言ったら“そう!”と素直にうなずいて…」。ベッドに横たわる緒形さんとの5日夜のやりとりを詳しくつづった。この時の様子を会見であらためて聞かれると「ここで語ると泣いてしまうから」と天を仰いだ。
 来春公開予定のメガホン第3弾「旭山動物園物語」にも出演を依頼していた。タッグを組むことがかなわず無念さを募らせた。

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2008年10月8日のニュース