坂本スミ子「息子が先に逝っちゃいけない」

[ 2008年10月8日 06:00 ]

 義母の遺志を継いで熊本市で保育園の園長を務める坂本スミ子(71)は「あの作品は私の宝物」としみじみ話した。「私が47歳で、緒形さんが46歳。たった1歳違いで親子を演じました。芸能界ならではですよね」と振り返った。

 70代の老け役を演じるため前歯をすべて抜いて臨んだ撮影。息子役の緒形さんとは「一緒に寝起きして本当の“母子”のような関係をつくっていきました。現場で“おっかあ、おっかあ”と呼んでくれ、すぐに親子になれました」と話した。
 山に母を捨てに行く息子。背負われる母。「情がわくから、互いに多くを語ってはいけないという掟(おきて)が、あの村(映画の設定の村)にありました。“おっかあ、雪が降るよ”という緒形さんの短いセリフ。忘れられない演技でしたね」と声を詰まらせた。
 その後、共演する機会はなかったが、年賀状や手紙のやりとりは続いた。「仕事をやりきって力尽きた。武士、サムライです。こんないい男、いない。そんな人と親子やったとよ。でも息子が先に逝っちゃいけないよね」と喪失感を募らせた。

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2008年10月8日のニュース