【大学スポーツ】早稲田スポーツ新聞会

早稲田大学【対明大3回戦】延長12回の死闘の末に…

[ 2017年9月15日 07:30 ]

対明大3回戦   早大2―3明大 ( 2017年9月11日    神宮 )

岡の右前適時打で一時は同点に追い付いたが…(C)早大スポーツ新聞会
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 守り合い、粘り合い、意地のぶつかり合い――。開幕カードでの勝ち点を懸けて絶対に負けられない早明両校が、互いに一歩も譲らぬ死闘を繰り広げた。先制されるが敵失ですぐさま同点に追い付くと、それ以降試合は膠着(こうちゃく)状態に入る。9回を終えて決着付かず、試合は延長戦に突入。延長10回に勝ち越されたが、その裏に代打・岡大起(社4=東京・早実)の起死回生の同点適時打が飛び出し、土壇場で同点に追い付く粘りを見せる。しかし迎えた延長12回、柳澤一輝(スポ4=広島・広陵)が延長戦に入ってから二度目の勝ち越しを許し、万事休す。総力戦となった3回戦で競り負け、勝ち点を落とした。

 1回戦同様、早大は小島和哉(スポ3=埼玉・浦和学院)、明大は齊藤大将(4年)を先発に起用。両左腕の投げ合いに注目が集まった。先に点を許したのは小島。2回に2死一、二塁から9番・齊藤に浮いた内角直球を右翼線に運ばれ先制点を献上した。それ以降も毎回走者を背負い、苦しいマウンドとなったが粘りの投球を見せる。3回は先頭に左前打を許すもの、次打者を二ゴロ併殺に切って取り、結果的にこの回は三者凡退。すると、早大に『ツキ』が回って来た。3回の攻撃、1死から走者を出し2番・檜村篤史(スポ2=千葉・木更津総合)が犠打を投前に転がす。これを処理しようとした齊藤が一塁へ悪送球。ボールが一塁側ファウルグラウンドを転々とする間に一塁走者が一気に本塁まで還って来た。1−1の同点に追い付いた直後の4回、小島は無死から長打を許しピンチを迎えたが、相手の犠打失敗や走塁ミスにも助けられここも無失点。状態は良いとは言えず、4回で降板となったが、最低限の仕事は果たした。小島の球を捉えていながら野手の正面を突き、ミスで好機を逃した明大。一方、齊藤の前に苦しみながらも思いもよらぬかたちで追い付いた早大。この時点で流れは確実に早大にあった。

 後半に入ると、一進一退の守り合いが続く。早大は2番手・北濱竣介(人4=石川・金沢桜丘)が1回を無失点に抑えると、6回からは前日の2回戦で107球を投げている大竹耕太郎(スポ4=熊本・済々黌)が連投となるマウンドへ。7回には1死一、二塁、8回には2死一、三塁のピンチを招いたが、こちらも粘りの投球で本塁への生還だけは許さない。大竹の力投に応えたい打線は6回、先頭の福岡高輝(スポ2=埼玉・川越東)が中越え二塁打で出塁。しかし、このカードでいまだ無安打の加藤雅樹(社2=東京・早実)ら後続が倒れ無死から出た走者を還すことができない。明大・齊藤は終盤に入っても140キロ超の直球、カウント球と決め球の両方に使えるスライダーのキレは落ちず、早大打線の前に大きく立ちはだかった。9回の攻防も互いに譲らず、試合は延長戦に突入。前半早大にあった流れは少しずつ明大に傾きかけていた。

 早大は延長10回も大竹が続投。しかし、前日から完全に抑え込んでいた明大4番・逢澤崚介(3年)に中前打を許し無死の走者を背負うと、1死後に右前打を浴び一、三塁のピンチを招く。大竹はここで降板し、マウンドを早川隆久(スポ1=千葉・木更津総合)に託した。ここで明大は代打の切り札・宮崎新(4年)を起用し、勝負に出る。直球を続け、宮崎を追い込んだ早川は最後も懐に内角直球を投げ込むと、打球は詰まって一塁へ。佐藤晋甫主将(教4=広島・瀬戸内)が決死のバックホームを見せるが、球がバットに当たると同時にスタートを切った三塁走者・逢澤の方がわずかに早く、判定はセーフ。ついに均衡が破れた。勝負あったか――。球場にいる誰もがそう思ったに違いない。しかし、その裏の攻撃で早大が粘りを見せる。先頭の小藤翼(スポ2=東京・日大三)が中前打で出塁すると、二進後に代打・岡が2球目の甘く入ったスライダーを逃さず捉え、起死回生の右前同点適時打を放つ。2−2。試合は再び振出しに戻った。なおもチャンスは広がり、1死満塁。この一打サヨナラの好機、代打・熊田睦(教4=東京・早実)が告げられる。後攻の早大はなんとしてもここで決着をつけたいところ。しかし、熊田の打球は一塁正面へと転がり最悪の本塁併殺。試合はまだ終わらない。11回は互いに三者凡退に終わり、迎えた12回。5番手・柳澤は先頭に四球を許すと、犠打による二進後に見逃し三振で2死まではこぎつけたが、途中出場の左打者・高瀬雄大(3年)に直球を中前に弾き返され2−3。再び勝ち越しを許してしまう。早大も一度は粘りを見せたが、今度ばかりはそうもいかない。最後の攻撃は三者凡退に倒れ、試合終了。延長12回、3時間23分に及んだ死闘は明大に軍配が上がった。

 「勝てる試合だった」。試合後、高橋広監督(昭52教卒=愛媛・西条)は大きく肩を落とした。開幕カードの大事な勝ち点を懸けた3回戦。投手陣の踏ん張りで失点を最小限に抑え、理想とするロースコアの展開に持ち込んだ。延長戦に入ってからは後攻の早大が間違いなく有利であり、事実一度は勝ち越されながら裏の攻撃で同点に追い付く粘りも見せた。しかし、最後に勝ち切れない。接戦を勝ち切れずに優勝争いから脱落した昨季の結果を受け、夏以降はこの日のような接戦をものにできる勝負強さを求めていたはずが、またしても同じように1点差で敗れるという結果に終始してしまった。「最初に勝ち点を落としてしまったのは、チームとしても痛い」(佐藤晋主将)。この日の結果により残り4カードで勝ち点は一つも落とせないと言っても過言ではないだろう。次戦は第3週で春の王者・立大との対戦。その後も第4週では宮台康平(4年)を擁する東大が、第6週では順調な仕上がりがうわさされる法大が、そして第8週・伝統の一戦で宿敵・慶大が待ち受ける。開幕週に出鼻をくじかれた感は否めなく、ここから先を勝ち続けるのは容易でないが、前を向いて目の前の一戦をつかみ続ける他はない。幸いなことに次週の第2週は空き週。総動員となった投手陣を初め、肉体的・精神的な疲れを取りながら1週間かけて明大戦で出た課題を消化し、とにかく気持ちを切り替えて立大戦に臨みたい。(早稲田スポーツ新聞会 記事 郡司幸耀、写真 久野映、加藤佑紀乃)

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