ヤクルト・村上 熊本地震の日に待望今季初アーチ!13試合、54打席目 チームも大勝で最下位脱出

[ 2024年4月15日 05:30 ]

セ・リーグ   ヤクルト9―0DeNA ( 2024年4月14日    横浜 )

<D・ヤ>初回、先制ソロを放つ村上(撮影・木村 揚輔) 
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 ヤクルト・村上宗隆内野手(24)が14日、DeNA戦で待望の今季初アーチを放った。開幕から13試合目で、自身最も遅い54打席目の到達となった。最大震度7の揺れが故郷を襲った16年4月14日の熊本地震から8年となったこの日。生みの苦しみを脱した主砲は特別な思いと感謝の気持ちを口にした。チームは9―0の大勝で2連勝を飾り、最下位を脱した。 

 敵地でも関係ない。初回1死。バックスクリーン左への放物線を見届けると、村上はスタンドへ感謝の気持ちを伝えるように、右手を掲げてベースを回った。

 「今日は熊本地震があった日。なかなか野球ができない時間もありました…。こうして元気に野球ができる喜びと、ファンの皆さんへの感謝の気持ちを改めて感じました」

 16年4月14日、故郷・熊本を最大震度7の地震が襲った。当時九州学院2年だった村上も、下校中に突き上げるような大きな揺れに恐怖を覚えたという。揺れが落ち着くと、避難所の体育館に出向き、被災者の手助けもした。プロ2年目の19年からは熊本城復旧支援を続ける。8年たっても、支えてくれた周囲への感謝の気持ちは忘れない。19年4月14日の巨人戦でも本塁打を放ったが「今日という日は今日しかないので。熊本地震だけじゃなく、いろいろな地震もあった。被災された方にスポーツの力を届けられたらと思います」。球界を背負う主砲として言葉を紡いだ。

 13試合、54打席目での今季初アーチは、22年の26打席を超える自身最遅だった。それでも打球速度177キロ、角度26度と文句なしのアーチ。外角143キロ直球を仕留め、大貫からは通算9発目で、阪神・青柳に並び投手別で最多となった。

 昨年3月のWBCで共闘したドジャース・大谷の初アーチは、メジャー移籍後最も遅い9試合41打席目だった。村上も生みの苦しみを味わった。「打球速度は出ているのに角度がつかない。打てない、打てないと騒がれるし、それも目に入ってくるけど」。広島から本拠への移動ゲームだった5日の阪神戦前には、一人だけ25分間の早出特打を敢行。11日の巨人戦前はフリー打撃前にロングティーも行い、バットを黙々と振り続けることで周囲の雑音も振り払った。

 高津監督も喜んだ。前日からは本塁打が出なかった不動の4番を「気分転換も含めて」と2番で起用しており「スッキリしたんじゃないかな。まだ本調子じゃないけど、どんどん上がってくれることを願います」。勢いづいた打線は2桁10安打9得点大勝で最下位を脱出した。「打席をこなす中で自分のスイングができた。打球速度はもう少し出るのかな」。特別な一日に、村上が長いトンネルを抜け出した。(伊藤 幸男)

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