「打力」で頂点に立った健大高崎 盗塁大幅増に「新バット」対応への苦心の跡が… 選抜大会検証

[ 2024年4月2日 06:30 ]

阪神甲子園球場
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 第96回選抜高校野球大会は3月31日に決勝を迎え、高崎健康福祉大高崎(群馬)の県勢初優勝で幕を閉じた。今大会から低反発の新基準金属バットに完全移行。本塁打数は金属バットが導入された1975年以降で最少となる「3」にとどまった。飛ばないバットが勝敗や作戦にどのような影響を与えたのか、データから検証する。

 新基準バット導入による打力低下が予想されていた今大会は、「守りのチーム」が優位になるとの見立てもあった。柵越え本塁打は2本にとどまり、総得点数は出場校数が同じ22年の「263」から「200」に減少した。ただし得点力が落ちた大会で勝敗を分けたのは、「守備力」ではなく「打力」だった。

 1回戦敗退を除く16校のチーム打率は、1位・中央学院(4強)、2位・高崎健康福祉大高崎(優勝)、3位・報徳学園(準優勝)、5位・星稜(4強)。4強が上位5傑に全て入った。一方のチーム防御率は、高崎健康福祉大高崎が1位に立つも、報徳学園6位、星稜7位、中央学院12位。打力に比べれば、投手力が勝敗に与えた影響は低かった。つまり、打線が低反発バットに対応できたかどうかが順位に直結した。

 高崎健康福祉大高崎は、秋季大会のチーム打率・397で出場32校中1位と打力に定評があった。決勝で戦った報徳学園の大角健二監督は「体格もパワーも違った」と証言。01年常総学院以来となる「0本塁打優勝」だったとはいえ、打力が優勝の原動力となった。

 新バットは作戦に影響を与えた。盗塁が22年の「44」から「72」と大幅増。犠打は「106」から「120」の微増だった。飛ばないバットにより外野が前進守備を敷きやすくなり、二走の単打での生還が難しくなった。1死を与える犠打よりも盗塁が重用されるなど、作戦の変化に試行錯誤の跡が見て取れた。 (河合 洋介)

 ○…低反発の金属バットは、投手の打球直撃防止などを目的に導入された。今大会は投直が3度あった。星稜と阿南光の準々決勝では、星稜の芦硲晃太(3年)が放った左膝付近の打球に阿南光の吉岡暖(はる=3年)がグラブを伸ばして捕球した。3度の投直は、いずれも避けきれないほどの打球速度ではなかったことから、投手の安全確保に一定の効果があったと言える。

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