落合博満氏が阪神の開幕戦ひも解く　岡田監督は余裕の1敗　安打数気にせず去年の野球思い出せ

セ・リーグ   阪神0―4巨人 （ 2024年3月29日    東京D ）

阪神の岡田監督（撮影・大森　寛明）
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　【オレ流慧眼】プロ野球は3月29日に開幕した。スポニチでは元中日監督の落合博満氏（70）が注目カードなどを独自の目線でひも解く「オレ流慧眼」をペナントレースを通じて随時掲載する。第1回は開幕カード「巨人―阪神」の第1戦（29日）を試合直後にオレ流で掘り下げた。開幕戦は143試合分の1試合と位置付け、巨人にとっては昨年の悪夢を払拭する大きな1勝とした一方、昨年の日本一・阪神には余裕を持った1敗だったと指摘した。（取材・構成　秋村　誠人）

　開幕戦に敗れた阪神だが、岡田監督にすれば余裕を持って負けた感じで、気にすることはない。ビジターは同一カード3連敗しなければよしとしなければいけない。仮に3連敗していても、それほど響かないだろう。

　日本一になった翌年の開幕戦。私は、やるべきこと、普通のことを普通にやれば決着がつくという考えで、負けてもそれはたまたま相手が一枚上だったと受け止めていた。これが優勝争いならこたえるだろうと思うが、取り返しはいくらでも利く1敗で「143分の1」に変わりない。

　オーダーを見れば森下も大山もよく間に合ったという感じだ。打線を組めないかなと思っていたから。去年から新たな戦力は前川だけで、メンバーはほぼ変わってない。取って代わる選手がいないということだが、それはマイナスということでもない。去年勝ったことで「やるべきことをやれば勝負になる」という確信を選手たちが持っている。オープン戦の状態がよくなかったチームが、公式戦で急によくなるということはない。ゲームを重ねていけば徐々に力を発揮するだろう。

　ゲームでは、先発の青柳の失点はミス絡みから。梶谷への攻め方は間違ってないし、本塁打されたのも甘いボールではない。開幕戦を考えれば、91球での交代も妥当だろう。打線については佐藤輝が低いボールに手を出していたが、他の打者は振っていなかった。そこを継続してやれているというのは、後々いい結果につながるだろうと思う。ヒットが出ないと不調じゃないかと言われるが、今の阪神打線はバットが振れてないわけじゃない。ヒット数はそれほど気にしなくていい。だからこそ、早く去年の野球を思い出すことだ。

　≪第2戦、第3戦VTR≫開幕戦で快勝した巨人は第2戦も6回に4番・岡本和、5番・坂本のアベックアーチで3点を先制。4投手による継投で1941年以来83年ぶりの開幕から2試合連続完封勝利を挙げた。第3戦は阪神が8回に森下の3ランで先制。開幕から26イニング目で今季初得点を挙げ、逃げ切った。

　◇落合　博満（おちあい・ひろみつ）1953年（昭28）12月9日生まれ、秋田県出身の70歳。秋田工から東洋大を中退し、東芝府中を経て78年ドラフト3位でロッテ入団。82、85、86年に3冠王。87年に中日、93年オフにFAで巨人移籍。97年から日本ハムでプレーし98年に現役引退。通算2236試合で2371安打、打率.311、510本塁打、1564打点。04年から8年間、中日監督を務めリーグ優勝4度、日本一1度。13年オフから17年1月までGMを務める。11年に野球殿堂入り。