KBOリーグでも「ピッチクロック」導入へ 試験期間の今季経て来季から本格運用 新たな取り組み続々

[ 2024年4月2日 14:45 ]

球場に設置されているピッチクロック用のクロックボード(写真提供:サムスンライオンズ)
Photo By 提供写真

 【室井昌也 月に2回は韓情移入】KBOリーグでは今季から、球審に代わって機器がストライク、ボールを判定する「自動投球判定システム(ABS)」が、他のリーグに先駆けて導入されると先月5日の本コラムで紹介した。KBOリーグではその他にも新たな取り組みをいくつか行っている。

 その一つが「ピッチクロック」。試合時間の短縮を目的とした、投球間の時間制限だ。投手はボールを受け取ってから18秒以内、走者がいる時は23秒以内に投げなければならない。また打者は投手の制限時間8秒前までに打撃姿勢を取る必要がある。

 今季KBOリーグではピッチクロックを試験期間として運用。制限時間を守らなかった場合の罰則はなく、警告のみ伝えられている。来季から本格導入し、投手の違反時にはボール、打者の場合はストライクが宣告される。

 KBOリーグを運営する韓国野球委員会(KBO)は3月23、24日の開幕2連戦の全9試合(1試合は雨で中止)でピッチクロック違反が96回あったと発表した。その内訳は投手が62回、打者33回、捕手が1回だった。

 試合時間はこれまでの34試合(延長戦突入の3試合を除く)で1試合平均3時間3分、昨季の同時点での平均3時間11分と比べて8分短縮されている。

 制限時間を超えてしまう投手の傾向として、投げ終わった後に捕手の返球を前に出て受け取ることが見られる。そのため斗山ベアーズの梁義智(ヤン・ウィジ)捕手は「ピッチャーには『下がれ』とジェスチャーをしてからボールを返しています」と話す。その他、投手によってはロジンバックを触る回数を減らすなど、それぞれが工夫をしている。

 またKBOリーグでは今季から一、二、三塁ベースが15インチ(約38・1センチ)から18インチ(約45・72センチ)に大きくなった。これによりベース付近での野手と走者の接触による負傷軽減と、塁間が短くなることによって盗塁企図数の増加が期待されている。ピッチクロックとベースのサイズ拡大はいずれもMLBのルール変更に追随したものだ。

 さらにKBOではバッテリーがサイン交換時に使う送受信機器「ピッチコム」の電波認証の準備を進めている。ピッチコムは試合時間短縮とサイン盗み防止を目的にMLBでは22年に採用を開始した。

 「いいと思うものはすぐ取り入れ、やりながら修正していく」。スピード感と臨機応変さがKBOリーグの特長だ。

続きを表示

この記事のフォト

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2024年4月2日のニュース