落合博満氏が巨人の開幕戦ひも解く 阿部監督、4点リードの9回に大勢投入“最悪”想定した最高初白星

[ 2024年4月2日 06:00 ]

セ・リーグ   巨人4―0阪神 ( 2024年3月29日    東京D )

巨人の阿部監督
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 【オレ流慧眼】プロ野球は3月29日に開幕した。スポニチでは元中日監督の落合博満氏(70)が注目カードなどを独自の目線でひも解く「オレ流慧眼」をペナントレースを通じて随時掲載する。第1回は開幕カード「巨人―阪神」の第1戦(29日)を試合直後にオレ流で掘り下げた。開幕戦は143試合分の1試合と位置付け、巨人にとっては昨年の悪夢を払拭する大きな1勝とした一方、昨年の日本一・阪神には余裕を持った1敗だったと指摘した。(取材・構成 秋村 誠人)

  開幕戦と言っても143(試合)分の1(試合)。私もそういう意識で開幕戦に臨んでいたが、29日の一戦で両軍に殺気ばしったものは感じない。内心は違うのだろうが、淡々と野球をやっているようにも見えた。そんな中で巨人にとっては大きな1勝だった。

 もしこの試合に負けていれば「またか」と去年のシーズンを引きずってしまう。去年の開幕戦は中日にダブルスコア(3―6)で敗れ、シーズンは阪神にどうやっても勝てなかった(通算対戦成績6勝18敗1分け)。そんな去年の嫌なイメージを、この1勝で払拭することができた。

 ゲームの流れからすると梶谷のファインプレーが大きい。3回1死一、二塁で右中間を抜けそうな打球を好捕した。抜けていれば2点入る場面。あのプレーがゲームを動かしたと言える。5回は先頭の吉川が二塁打。打者の戸郷に送らせるかどうか見ていたが、青柳のボークで難なく三塁へ進んだ。どんな形でも1点が欲しいというところで、佐々木の遊ゴロでスタートさせて先制。2死後、梶谷が2ランを放った。打ったのは決して甘いボールではない。うまく打っていた。ファインプレーで気分よく打席に入れたというのも多分にあるだろう。

 注目したのは4点リードの9回。セーブが付かない場面で大勢をどうするのか。阿部監督は、セーブは関係なく使ってきた。勝てる試合は確実に勝たないといけないということ。他の投手を使って追い上げられて、慌てて大勢をつぎ込むことは避けたい。今後も4点差くらいならこういう使い方でいいと思う。これが抑えとして確固たる実績を築いた岩瀬(元中日)や佐々木(元横浜=現DeNA)なら話は別だ。大勢はこれから実績を積んでいく投手で、セーブにこだわる必要はない。

 戸郷からの継投も決まり、阿部監督にすれば最高の形の初勝利となったと言える。

 ≪第2戦、第3戦VTR≫開幕戦で快勝した巨人は第2戦も6回に4番・岡本和、5番・坂本のアベックアーチで3点を先制。4投手による継投で1941年以来83年ぶりの開幕から2試合連続完封勝利を挙げた。第3戦は阪神が8回に森下の3ランで先制。開幕から26イニング目で今季初得点を挙げ、逃げ切った。

 ◇落合 博満(おちあい・ひろみつ)1953年(昭28)12月9日生まれ、秋田県出身の70歳。秋田工から東洋大を中退し、東芝府中を経て78年ドラフト3位でロッテ入団。82、85、86年に3冠王。87年に中日、93年オフにFAで巨人移籍。97年から日本ハムでプレーし98年に現役引退。通算2236試合で2371安打、打率.311、510本塁打、1564打点。04年から8年間、中日監督を務めリーグ優勝4度、日本一1度。13年オフから17年1月までGMを務める。11年に野球殿堂入り。

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