ソフトバンクに捕球革命 “フレーミング左手の法則” 「ビタ止め捕手」ユーチューバーに師事

[ 2023年11月5日 06:00 ]

緑川キャッチングコーディネータから指導を受ける(右から)海野、谷川原、吉田、渡辺陸ら捕手陣(撮影・岡田 丈靖)
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 鷹捕手陣が、アマから“フレーミング左手の法則”を学んだ。ソフトバンクの宮崎野手キャンプ第1クール最終日となった4日、技術練習時間に育成含む8捕手が「キャッチングコーディネーター」から実技講習を受けた。正妻・甲斐が今春の自主トレで招へいした緑川大陸(ひろむ)さん(32)が、球審目線からの基本技術を伝授。「ビタ止め捕手」で知られるユーチューバーは、8日まで宮崎に滞在する予定で、V奪回につながるストライク1つの重要性を説く。

 プロテクターを付けた屈強な捕手陣が、1人の細身男性を室内ブルペンで取り囲んだ。松山秀明2軍監督、4軍までのバッテリーコーチも集結すると、「キャッチングコーディネーター」として独学でフレーミングを研究し続ける緑川さんの実技が始まった。

 「通常は投手を向いているのが捕手ですが、視点を変えることから感じてもらいたかった。ミットを後ろから見られたとき、どういう形になればストライクを取ってもらえるか」

 ストライクかボールかの際どい判定を捕球する際に球審が「ストライク」とコールしやすくする技術がフレーミング。YouTubeで「ビタ止め捕手」の異名を取った草野球が主戦場の専門家は、講習初日に球審から見える捕手像を約100分間、植え付けた。

 「普段より低い構えを意識してください。球の軌道に合わせ、下から上に親指を合わせ捕球してください」

 実践した渡辺陸が「投手に気持ち良く投げてもらうためにミットを止めていたけど、緑川さんの教えは審判さんにどう的確に見せるかでした」と話せば、谷川原は「親指と人さし指で捕ればズレが少なくミットも止まりやすい」と収穫を強調した。

 愛知県出身の緑川さんは関西(岡山)、立正大まで競技を続けた。プロにはなれなかったが、同郷で元ソフトバンクの千賀(現メッツ)の自主トレ補助をした縁で交流開始。今春には甲斐の大分自主トレでフレーミング指導。捕球知識、技術向上に今後も適任と球団が判断し、今キャンプにも呼ばれた。8日まで宮崎に滞在し個別質問から受け付ける。

 高谷裕亮1軍バッテリーコーチは「きょうは投手が投げる球に対する体の入り方、動き方、流されない止め方でしたね。相当、勉強されています」と感服。アマ、プロの垣根を越えたミットを持つ左手の微変革。球団は、これもV奪回をつかむ必要なピースとみている。 (井上 満夫)

 ◇緑川 大陸(みどりかわ・ひろむ)1991年8月1日生まれ、愛知県出身の32歳。関西高、立正大で硬式野球部の捕手。野球ユーチューバーで注目されたキャッチャーコーチで「ビタ止め捕手」時代の動画に「あの頃はまだ本当に甘いんです」と米国のキャッチングコーディネーターを参考に独学を継続。SNSを通じてスクールや個人レッスンも行っている。


 ≪“受講生”らの声≫

 ▼牧原巧汰捕手 驚く技術が結構あったし“まずはブロッキングが100%じゃないと間に合わないですよね”との言葉で、試合での捕球の意識から改めることができました。

 ▼育成・盛島稜大捕手 専門家の方に、初めて教わりました。動画は事前に見ていましたが、球の軌道にミットを入れる技術などかなりいい機会でした。

 ▼育成・加藤晴空捕手 ミットを構えて右膝を着いての捕球は、やったことがなかった。うまくなっていく感じがして楽しかった。

 ▼育成・石塚綜一郎捕手 手首でしっかり捕球されていて、低めの球は親指が大事だと思いました。小手先で捕っていて、課題だったので改善に向けて勉強になりました。

 ▼森浩之バッテリーコーディネーター MLBの映像などが、すぐ見ることができる時代になっているし、われわれの頃の捕手とは捕球、そしてフレーミングも違う。意識を高く、勉強をされているし引き出しを増やすことは大事ですよね。

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