【虎番リポート】三塁から届いた声と「香り」は宝物 阪神・大竹が引退する「熱男」から学んだこと

[ 2023年9月29日 08:00 ]

18年9月24日、松田(右)と2人で本拠地初のお立ち台に立つ大竹

 大竹の目に、今も焼き付いて離れない光景がある。昨年10月1日、ソフトバンクを退団する松田のために用意されたセレモニーだ。ファーム施設の筑後を埋め尽くした超満員の鷹党を前に「自分も辞める時、こういうふうにファンに惜しまれる選手になりたいなと思った。凄いな、と」。決意を新たにするきっかけをくれた「熱男」は、その後、巨人へと移籍。そしてこの日、今季限りでの引退が発表された。

 大竹にとっては特別な存在と言っていい。うれしい時、つらい時、いつも隣にいた。ルーキーイヤーの2018年9月24日。日本ハム戦で快投し、本拠地・ヤフオクドーム(当時)で初めてお立ち台に上がった時は松田と2人だった。4年目の21年3月31日。オリックス戦で3回7失点KOされた時に「この試合は覚えておけ。ベンチの一番前で試合を見ておけ」と叱咤(しった)激励してくれたのも、松田だった。

 大竹は「三塁からずっと声を掛けてもらった。1軍だろうが、2軍だろうが、先頭で声を出していた。凄く勉強になった」と野球に取り組む姿勢に改めて敬意を表した。そして「強いホークスの象徴だった」と思いをはせた。ともに過ごした5年間は宝物。「三塁から香水のいい匂いがしたら“ああ(自分は)1軍に来たんだな”と。(松田さんは)そういうイメージ」。今ではちょっぴり懐かしくもあり、初心を呼び覚ましてくれるあの香り――。常勝軍団の要だった男へ、自らの成長した姿を見せることこそが最大の恩返しだ。(八木 勇磨)

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