脱・育成へ脱・筋肉マン 阪神・野口、故障きっかけに180度転換 肉付きより柔軟性重視で飛躍へ

[ 2023年6月13日 09:00 ]

5月下旬に実戦復帰し、必死のアピールを続ける野口
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 鳴尾浜で牙を研ぐ若虎を取り上げる「2軍リポート」。育成ドラフト1位・野口恭佑外野手(22)は故障の遅れを取り戻そうと必死だ。5月24日の実戦復帰後、ウエスタン6試合で15打数5安打(打率・333)。8日の広島戦は初の4番を任された。トレードマークは真っ赤な手袋。鋭い打球と打撃センスが光る中距離ヒッターだ。

 「チャンスをいつもらえるか分からない。来た時にいい結果が出るように準備したい」

 最初のアクシデントは春季キャンプで訪れた。左太腿裏を肉離れし、落ち込んだ。「キャンプを乗り越えたら自信がつくと思っていたのに…」。1度は治ったものの、4月上旬に再発。再び1カ月以上の離脱を余儀なくされ、このままではいけないと気付いた。

 「ウエートトレーニングばっかりしていると、体のバランスが崩れる。筋トレを減らし、ストレッチや連動性を高めるエクササイズをした方が、打撃につながると分かった」

 九産大から体づくりに目覚め、肉付きと比例して打球が飛ぶようになった。以後、「趣味は筋トレ」になった。入団会見で「初任給でバーベルとプロテインを買いたい」と訴え、入寮時にはダンベルを持参した。当初は自他共に認める“筋肉マンキャラ”だった。

 しかし、故障を機に考えを180度転換した。1メートル80、88キロの体にはもう十分な筋肉が付いた。この先必要なのは、その使い方。日課だった寮の自室でのダンベルトレを封印し、スポーツに不可欠な胸郭(胸回り)の柔らかさを求め、ストレッチに精を出す。現在の成績は成果の一端だ。

 7月に23歳を迎える若さとはいえ、育成の身分では、じっくりなどと悠長なことは言ってられない。今季中の支配下昇格を果たすなら期限はあと1カ月半、7月31日までだ。大学のチームメート、広島・中村貴は一足先に支配下選手登録された。「より刺激をもらっている」。体力面がネックで、ハードなプロの練習と試合が続くと、パフォーマンスが落ちる。守備、走塁も粗削りだ。だが、今は課題が目立って当然。魅力あふれる打撃を伸ばした先に、3桁背番号からの卒業が待っている。(倉世古 洋平)

 ◇野口 恭佑(のぐち・きょうすけ)2000年(平12)7月17日生まれ、長崎県雲仙市出身の22歳。千々石第一小1年からソフトボールを始め、千々石中では軟式で捕手。長崎・創成館高で本格的に外野手に取り組み、3年春夏の甲子園に出場。九産大では4年春の福岡六大学リーグでベストナイン。1メートル80、88キロ。右投げ右打ち。

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