近本の2点目“神走塁”がなかったら…阪神12回引き分けも巨人の自力CS進出の可能性消滅させた

[ 2022年9月3日 05:15 ]

セ・リーグ   阪神2ー2巨人 ( 2022年9月2日    甲子園 )

<神・巨>8回1死二塁、右越えに先制の適時三塁打を放った近本(右は岡本和)(撮影・成瀬 徹)
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 阪神は2日の巨人戦で近本光司外野手(27)が走攻守全てで躍動しながら、延長12回の末に今季3度目の引き分けに終わった。8回に先制の右越え三塁打で均衡を破り、直後には好走塁で追加点の生還。5回の守備では中堅から三塁への好返球もあった。8月10日以来の貯金は持ち越しても、巨人の自力でのクライマックスシリーズ(CS)進出の可能性を消滅させ、Aクラス確保へ前進した。

 重たい扉は、近本がこじ開けた。8回1死二塁。戸郷の初球フォークを一振りで仕留め、前進守備だった右翼手・松原の頭上を越える先制三塁打で均衡を破った。

 「1、2番がいい形でチャンスをつくってくれたので、もう自分は思い切っていくだけだと思っていました。浮いてきたボールをしっかり振り抜くことができました」

 中野の左前打と糸原の犠打。前を打つ2人の仕事を実らせた。今季の戸郷には過去3試合で1勝1敗ながら、わずか2得点の苦戦。特に本拠地・甲子園ではゼロ行進が続き、計25イニング目で奪った初得点だった。

 4月1日の巨人戦以来の今季2本目の三塁打には近本にしかできない“続き”もあった。直後の佐藤輝の三ゴロで瞬時の反応で好スタート。前進守備だった岡本和に本塁送球を諦めさせる好走塁で2点目の本塁を踏んだ。

 結果から見れば、9回は2点差を追いつかれた。あの2点目の追加点がなければ、逆転で敗れていた可能性も…。矢野監督も「2点はチカ(近本)が取った。タイムリーと足で取った点。あそこでよく打ってくれた」と称えた。

 初回は中前打して二盗。2安打を加えた138安打は並んでいたヤクルト・村上を抜き、15日ぶりのリーグ単独トップに立った。25盗塁も同トップを誇り、2冠のタイトルも視野に入る。

 守備でも魅せた。5回2死一塁から丸の中前打では三塁へ鋭く速いワンバウンドで返球し、三塁進塁を狙った一塁走者の坂本を刺した。巨人のリクエストでも判定は変わらず、昨季ゴールデングラブ賞を獲得した名手が窮地を救った。

 惜しい引き分けで4連勝と8月10日以来の貯金は持ち越しても、巨人を自力CS消滅へ追い込んだことも事実だ。矢野監督は「後ろを向くことのない引き分けだと思う。前を向いて自分たちの野球を。姿勢としては、積極的なプレーが出ていた」とうなずいた。残り18試合。“自分たちの野球”の先頭には近本がいる。(長谷川 凡記)

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