ロッテ・高部 痛恨ミスを経験して見えた成長、因縁の札幌ドームでリーグ戦再開

[ 2022年6月17日 08:00 ]

ロッテで唯一全試合出場している高部(撮影・長久保 豊) 
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 開幕からロッテで唯一全試合出場しているプレーヤーだ。交流戦が終わり、リーグ戦が再開する前に、高部瑛斗外野手と少し話をした。

 佐々木朗希と同期入団のプロ3年目。1年目から、誰よりも練習を行い、一心不乱にバットを振り込んでいるイメージが強い。そんな彼に、座右の銘を聞いた。

 「特にないんですけど、入団するときに“挑戦”と書いたので、常にそういう気持ちでいます」

 なるほど…。常に前を向いてファイティングポーズをとろうとしている高部らしい言葉だなと感じた。

 一昨年、昨年と2年連続でパ2位となったチームには、プロスペクトと呼ばれる潜在能力の高い若手がたくさんいる。

 二遊間を守れる平沢、将来の主砲として昨季は開幕4番に抜てきされた安田、トリプルスリーも狙えそうな藤原、この3人はドラフトで1位指名し、他球団と競合して抽選で引き当てた逸材だ。

 「プロ野球は入ったら、ドラフトの順位は関係ない」――。そんなフレーズはよく聞くが、期待の大きなドラフト1位を優先的に経験させるのは、どの球団も同じだ。

 そんな中で、「ドラ1トリオ」よりも先に、19年ドラフト3位が定位置を確保したことは価値が高い。ロッテの外野陣を見てほしい。実績十分のマーティン、荻野に加え、同じ左打ちだけでも藤原、角中、福田秀、昨季盗塁王の和田、菅野らがひしめく激戦区なのである。

 こんな背景がある中で、キャンプ、オープン戦で決して多くないチャンスを確実にものにした。プレーは泥くさく、何事もアグレッシブに攻める。

 開幕から主にリードオフマンとして起用されたが、積極的にバットを振っていくタイプだけに、1球でアウトになってしまうこともある。

 淡泊さを感じることもあるが、一方で快音を響かせると、一気にチャンスの期待感が広がる。失敗を恐れない。これが持ち味だ。「いいときも悪い時も切り替えて、毎日、フレッシュな気持で入ることは心がけています」。自分のプレースタイルにブレがないのだ。

 アグレッシブなのは打撃だけでない。盗塁も積極的に仕掛け、外野守備も、打球を目がけて思いって突っ込んでいく。試合後、ベンチで涙を見せたこともあった。

 4月6日の日本ハム戦(札幌ドーム)で痛恨のミスを犯した。同点の9回無死一、三塁で左翼線上の飛球を捕球せず、打球はフェアゾーンに落ち、これが痛恨のサヨナラ打となった。

 「あのときは気持ちが重かった」。そう振り返るが、「チームには申し訳なかったけど、メンタル的にはたいしたことなかった」と思えるようになった。

 「次の試合でヒットが一本出た。そこが自分の成長かなと思った。あんなプレーをしても、いつもと変わない準備をして、次の試合に臨めたことは僕の中ではプラスだった」

 交流戦が終わり、リーグ戦が再開する。最初の相手は日本ハム、しかも因縁の札幌ドームが舞台なのだから、巡り合わせっておもしろい。

 「オールスターも出てみたい気持ちはあります。まずは、チームを勝たせられるように貢献していかないといけない」。球宴ファン投票の中間発表(6月16日時点)は外野手部門7位。向上心が強くて、何事も貪欲な男は、一流選手とプレーすることで、さらにひと皮剥けるのではないか。そんな気がする。(記者コラム・横市 勇)

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