亀山つとむ氏 ホームなのに…甲子園の「浜風対策」 阪神は投打ともにヤクルトに負けている

[ 2022年5月5日 06:00 ]

セ・リーグ   阪神0―3ヤクルト ( 2022年5月4日    甲子園 )

亀山つとむ氏
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 野球日和の甲子園というのは、浜風との闘いでもある。右翼から左翼に向かって吹く強い風。ホームである以上、勝つためにはこれを味方につけなければいけない。だが、阪神バッテリーは浜風を考えた配球が徹底できず、攻撃でも佐藤輝が苦しんだ形になった。

 6回の攻防が象徴的だった。6回裏の佐藤輝へのヤクルトの攻め方。3球続けての内角攻めからファウルで追い込むと、最後は外角に沈む変化球。腰が入らず、合わせるだけの中飛に倒れた。

 「あの風がなければ」と阪神歴代の左打者は浜風に苦労してきた。佐藤輝もこの2試合で8打数無安打。改めて難しさを感じているはずだ。右に引っ張るだけでは風とケンカして負けてしまう。掛布さんは左に引っ張るというイメージで対処していた。必要なのは広角への意識。佐藤輝も村上のように左に大きいのを打てる能力はある。目の前で見せつけられた浜風を頭に入れた打撃を研究してほしい。

 その一方で、6回表のリードは対照的だった。1死一、二塁で迎えた村上への攻め方がポイントだった。秋山―坂本のバッテリーは内角中心の配球で追い込んだ。だが、決め球5球目の外角低めの直球をミートされ、左翼フェンス直撃二塁打で痛い追加点を与えた。先頭の塩見に対する糸原の失策を含め、もったいない失点になった。

 結果論かもしれないが、村上に対して、ミートさえすれば伸びていく直球をなぜ選択したのか。3日にも村上に逆方向に先制2ランを打たれたばかり。変化球で低めをつけていれば…。内角への意識はさせていたから引っかけて、打球は伸びなかったと感じた。内角攻めで最後まで押し切る手もあった。

 チームは6連勝から本拠地では0―3で連敗。序盤3回まで先頭打者が安打で出塁しながら、阪神は先手を取ることができなかった。浜風対策も含めて、攻撃も守りも徹底しないと流れは呼び込めない。この2試合はヤクルトが風を利していた。(スポニチ本紙評論家)

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