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矢野監督の「覚悟」見た秋山に代打 選手たちへ送った、強烈メッセージ「巨人を倒して優勝」

[ 2021年9月6日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神6ー6巨人 ( 2021年9月5日    甲子園 )

<神・巨(18)> 3回、投手交代を告げる矢野監督(左) (撮影・平嶋 理子)       
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 【畑野理之の理論】矢野燿大監督の執念の“勝利”だろう。いや、実際は引き分けだが、6点差を追いついたのだから勝ったに等しい。「チーム全員で追いつけたので大きい」と負けなかったことを喜び、巨人・原辰徳監督は「用兵のミス」と敗軍の将のように反省していた。

 矢野監督の覚悟をみた。0―3の2回2死一、二塁で打席が回ってきた秋山拓巳に代打を送ったときだ。確かに調子は良くなかったが、先発投手を2回で交代させるなんてシーズン前半なら見られない采配だからだ。もしも、この試合でガムシャラな選手起用をするなら原監督だろうと思っていた。余裕がないのは巨人の方で、絶対に3連敗は避けたかったはず。一方の阪神は楽に戦える状況だと思っていた。

 しかし、違った。矢野監督は必死にこの第3戦も取りに来た。2回は小野寺暖が右飛に倒れて無得点に終わり、2番手の藤浪晋太郎が3イニング目の5回に岡本和真に3ランを打たれて点差はさらに開いた。代打策は不発だったように思えたが、途中出場組のメル・ロハス・ジュニアや原口文仁、糸井嘉男らがタイムリーを放ち、最後は正解に変わっていた。6点リードで坂本勇人を下げ、代わりに遊撃に入った若林晃弘と広岡大志がいずれも失策。原監督は「(坂本)勇人のカバーをできず、読み切れなかった」とうなだれた。チーム事情はいろいろあるが、阪神は諦めなかった、巨人はスキをみせたという結果が残った。

 もっと言えば、この日の矢野監督の積極采配はシーズン100試合(104試合目)を過ぎての戦い方を示したと言える。この試合を入れた残り40試合は、巨人をやっつけて優勝へ向かう「覚悟」なんだと、選手たちへ強烈なメッセージとして送ったのだ。

 メークレジェンドと呼ばれた、巨人に最大13ゲーム差をひっくり返された08年を振り返る。9月21日に巨人戦3連戦3連敗となり、阪神はシーズン130試合目で同率首位に並ばれた。そこから両チームは勝った負けたを似たように繰り返し、10月8日の直接対決に敗れて初めて巨人が単独首位に立ち、優勝マジック2が点灯。阪神は141試合目だった。10日の142試合目に敗れて巨人の優勝が決まった。敗因は明らかに終盤の巨人戦ラスト7連敗だった。

 要は、宿敵に勝たなければならないということ。今年はまだ19日に1試合(甲子園)、24日から3連戦(東京ドーム)、そして現時点でのシーズン最終カードとなっている10月12日からの3連戦(東京ドーム)が残っている。本当の勝負どころまで、このままムチを入れ続けていくのだろう。=敬称略=(専門委員)

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