巨人・菅野 苦しみ乗り越え131日ぶり白星!侍五輪金の裏で「どうにもできない感情と悔しさ」

[ 2021年9月2日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人2―0ヤクルト ( 2021年9月1日    京セラD )

<巨・ヤ>力投する巨人・先発の菅野(撮影・椎名 航)
Photo By スポニチ

 巨人の菅野智之投手(31)が1日、ヤクルト戦に先発し、8回を1安打無失点で4月23日以来131日ぶりの3勝目を挙げた。6回2死まで無安打の快投を演じ、自己ワーストだった連敗を4で止めた。今季4度も戦列を離れ、選出されていた東京五輪日本代表もコンディション不良で辞退。苦しみ抜いたエースが復調し、チームは3連勝で今季最多の貯金15とした。

 苦しんだ分だけ、人は強くなれる。巨人のエースもそうだ。131日ぶりの白星。菅野はこみ上げる思いをそのまま口にした。
 「誰もが順調に野球人生を歩めるわけじゃない。それが今、来たんだと自分自身に言い聞かせて、現実を受け止めてやってきた」

 今季は脚や右肘の違和感などで4度も離脱し「どうしていいか分からない時期もあった」と言う。目標としていた東京五輪も辞退。「どうにもできない感情と悔しさだけでした」。金メダルを獲得した侍ジャパンの戦いをテレビで見た。「(自分も)負けてられないなという気持ち。もちろん五輪で投げたかったというのもある」と言い、この日の投球を「いろんな思いが集約された」と表現した。

 8回を投げ、内野安打1本。6回2死まで無安打だった。復帰戦となった前回8月26日の広島戦でカーブを多投した姿とは明らかに違う。最速149キロだった直球は151キロを計測。2回、4番の村上を149キロで空振り三振に仕留めると4者連続三振を奪った。

 直球が走れば、変化球も生きる。試合前に恋女房の小林と話し合い、投球練習で切れが良かったカットボールを軸にした。直球と同じ30球。今季最多の8三振を奪い、さらに24個のアウトのうち、13個を内野ゴロ(1併殺含む)で奪った。外野フライは3つだけで、低めに集めて長打を打たせず「リスクマネジメントもうまくできていた」とうなずいた。

 約2カ月の調整期間は投球フォームを見つめ直し、威力ある本来の直球を取り戻した。昨年から導入した腕から始動するフォームでなく、19年までのノーマルなフォームに近い形にし「その日その日の(ベストを)。微調整の一つ」と試行錯誤して行き着いた。取り入れたのが、若手の頃に行っていたバドミントンのラケットでの素振りだった。昨年のフォームで投げる中で、右肘の位置が下がることもあった。バドミントンのスマッシュはしっかりと上から振り下ろさないとできないため、自然と肘の位置が上がる。フォームの矯正につながった。

 「凄い感慨深い部分はあります。でも本当にまだまだ。もっと良くなるって信じてやらないと」。どん底からはい上がったエースはまた強くなった。(田中 健人)

 ▼巨人・原監督 久々に、らしいピッチングに見えた。七転び八起き、越えられない山はないんだというつもりで常に挑戦心を持つということが大事。また次の登板が非常に楽しみ。

 ▼ヤクルト・高津監督 なかなか前に飛ばない。外野まで行った打球が3つ。(ボールの)高さも低いし、変化球もよく切れていた。

続きを表示

この記事のフォト

2021年9月2日のニュース