松商学園の2年生左腕・栗原 痛恨の2球に泣くも亡き親友へ届けた勇姿

[ 2021年8月25日 16:34 ]

第103回全国高校野球選手権大会   明徳義塾2―0松商学園 ( 2021年8月25日    甲子園 )

<松商学園・明徳義塾>5回のピンチをしのぎ雄たけびをあげる松商学園・栗原(左)(撮影・大森 寛明)
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 失投ではない。でも、スタンドまで運ばれた。ソロ本塁打2本の2失点だけで敗戦。松商学園の2年生左腕・栗原英豊は「1球の怖さを知りました」と言った。

 2回と6回。走者なしの場面で、ともにカウント2―1から投じた内角直球だった。

 強打の明徳義塾(高知)相手に「いかにインコースを使えるかがポイント」とし、スライダー主体に内角を突いた。ただ、本塁打はともにボール先行の4球目。「厳しいコースだったけど、カウントを悪くしてから。カウントが大事だと感じました」とも続けた。

 雨天順延と2回戦の相手だった東北学院(宮城)のコロナ禍による出場辞退で1回戦から中13日。試合勘という面で難しい部分もある。それでも、栗原は感謝の思いは常に忘れなかった。マウンドには必ず一礼してから上がる。支えてくれる人たちへ「感謝の気持ち」を込めた一礼だ。

 その感謝する人たちの1人に大切な親友がいる。新潟・寄居中時代のクラスメート。野球経験はないが、誰よりも応援してくれ「長野にも甲子園にも、プロに行っても見に行く」と言ってくれた。その親友が昨年11月に他界。信じられなかった。以来、通夜の際に配られた礼状を「お守り」として持ち歩き、試合前にはご両親が綴ったメッセージを読んでから登板する。「自分1人じゃない。彼の分まで…。野球ができることに感謝しないといけない」。6回を5安打2失点。感謝を込めた101球だった。

 「来年また戻ってきたい」。1球の怖さを知った。感謝の思いは忘れない。栗原は大きく成長して甲子園に帰ってくるつもりだ。(秋村 誠人)

 ◇栗原 英豊(くりはら・えいと) 2004年(平16)6月11日生まれ、新潟県出身の17歳。小学3年から新潟中央シーホークスで野球を始め、新潟・寄居中時代は新潟ボーイズで投手、一塁手で全国大会ベスト16。松商学園では昨秋の県大会からベンチ入り。1メートル75、73キロ。左投げ左打ち。

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