試合前日まさかの電話…それでも9人で戦いきった万代 猛暑の中での奮闘にスタンドから大拍手

[ 2021年7月17日 19:05 ]

第103回全国高校野球選手権新潟大会3回戦   上越総合技術15―4万代 ( 2021年7月17日    新潟市鳥屋野球場 )

助っ人2人を含む9人で戦い抜いた万代
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 試合前日。万代の吉田廉主将(3年)の携帯電話が鳴った。モニターには助っ人部員の名が。「明日、用事があって行けないわ」。「えーっ」。

 部員7人の万代は、今春の県大会は加茂農林との合同チームで出場したが、今夏は助っ人3人を加えて単独チームで出場していた。初戦は中条に10―7で勝利。勢い込んで迎えた3回戦前日に思いもよらぬ電話が舞い込んだ。

 新潟県内全域に熱中症警戒アラートが発令されるほどの猛暑だった。9人ギリギリで戦うことになった万代は、1人でも欠ければその時点で試合終了だ。それでも吉田主将は「ケガしないことはもちろんなんですけど、ガッツあるプレーが大事」とケガをも恐れぬ姿勢で最後になるやもしれぬ一戦に臨んでいた。

 試合は0―5の3回に吉田主将の適時打などで4点を奪うなど、一時は1点差に迫った。最終的には前身の高田工時代に甲子園出場経験もある上越総合技術に4―15で敗れたが、9人で最後まで戦いきった万代ナインには大きな拍手が贈られた。

 この日は9人中、7人が複数ポジションを守った。当然、コーチャーズボックスにも交代で立つ。イニングの合間には町屋良輔監督(33)が捕手のレガースやプロテクターをつけるのを手伝い、立川司部長(24)が内、外野の練習球を回収。記録員としてベンチ入りした保田莉央マネジャー(2年)は、守備時は部員が誰もいなくなるベンチで声を枯らして打者の打球方向を伝え続けた。

 町屋監督は言う。「コーチャーがいなければ率先して“オレがいく”と言ったり、少ない人数の中で今、何をすべきか。すごく視野が広がったと思う。思いやりの面が成長したと思います」。

 人数が少ない野球部だからこそ学べることがある。こんな高校野球もある。(白鳥 健太郎)
 

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2021年7月17日のニュース