新型コロナ、リアル二刀流起用…異例のシーズンに挑む日体大・古城隆利監督の今

[ 2021年5月21日 15:47 ]

連覇への望みを残す日体大・古城隆利監督(撮影・柳内 遼平)
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 首都大学リーグは昨年、中日2位指名の森博人投手(日体大)ら4人の選手をプロ野球に輩出したハイレベルなリーグだ。

 日体大は昨秋のリーグ戦を制覇。今春は連覇を狙うが、2月に35人の部員が新型コロナウイルスに感染。一時はリーグ戦の参加も危ぶまれた。寮生全員にPCR検査を行い、陽性者と濃厚接触者の隔離期間が明けたことでリーグ戦参加が決定。全体練習が再開されたのはリーグ開幕8日前の4月2日だった。異例のシーズンに挑む古城隆利監督に話を聞いた。

 「症状がない子に陽性者がこんなにも多いとは思わなかった。全てがリセットされてマイナスからのスタート。新たなメンバーで試合経験を積めなかったのは痛い」

 昨年の大黒柱だった森投手が卒業。新たな布陣を整えていたが、全てが白紙。東海大との開幕2連戦は連敗し、連覇へ黄色信号が灯った。だが、大学日本代表のコーチも務めた経験豊富な指揮官は、好調な選手を抜擢する采配で翌週の帝京大戦から3連勝を飾るなど巻き返した。「チームは完成していないが、開幕後の2週間で形になったきた」と手応えを語る。

 3年生の矢沢宏太投手は主に「4番・投手」で初のサヨナラ本塁打と完封勝利を挙げるなど投打に渡る活躍を見せる。日体大入学時に古城監督の勧めで始動した「リアル二刀流」での躍動に「投手としての力が上がってきた。打つのも、投げるのも凄い選手」と目を細める。

 リーグ戦は4勝4敗で残り2戦。6勝2敗の桜美林大を追う厳しい状況にも「優勝、連覇を目標に。自力が復活したので成し遂げたい」と力強く言う。

 かつてない逆境の中で戦った今季。どんな結果になろうとも、誇れるシーズンであることに変わりはない。(柳内 遼平)

 ◇古城 隆利(こじょう・たかとし)1969年6月3日生まれ、大分県出身の51歳。現役時は大分・日田高から日体大を経て、いすゞ自動車硬式野球部でプレー。18~19年に大学日本代表でコーチを務める。同大スポーツマネジメント学部の助教。

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