常総学院・大川慈英、中京大中京の畔柳亨丞に見せた意地

[ 2021年3月28日 09:31 ]

第93回選抜高校野球大会第8日第3試合 2回戦   常総学院5-15中京大中京 ( 2021年3月27日    甲子園 )

中京大中京戦の5回、2番手で登板した大川
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 常総学院(茨城)は元監督の木内幸男氏が昨年11月に亡くなって以来、初の甲子園だったが、2回戦で中京大中京(愛知)に5―15で大敗を喫した。相手の先発・畔柳亨丞(くろやなぎ・きょうすけ・3年)に7回1失点に封じられ、主導権を握れず。5回から2番手で登板して3回1失点と意地を見せた大川慈英(じぇい・3年)は夏に向け、成長を誓った。

 大川が投じた直球は伸び上がるような軌道を描き、畔柳のバットは空を切った。8点を追う5回。大会屈指の右腕に対して見せた意地だった。投じたのは高め137キロ直球。数字以上の威力だった。

 「持ち味は直球で押せること。腕を振り切って(畔柳から)三振を取れて良かった」

 先発の秋本が4回8失点でKO。5回から2番手で登板した。試合の大勢は決していたが、3回を1安打1失点。自己最速まで2キロに迫る144キロを計測する力投も見せた。何よりも畔柳と投げ合い、武器である直球で強烈な印象を残した。

 直球の原点は両親からの助言だ。母は96年アトランタ五輪バレー代表の千穂さん(50)で、幼少期から小3まで母から直接指導を受けたというバレーが「剛腕」のルーツ。バレーのスパイクは投球と同じように体をひねる動きで、母は「打つ時だけ、しっかり力を入れなさい」と息子に伝えた。

 総合格闘家だった父・政則さん(53)の影響も大きい。「脱力した方がよけにくいパンチを放つことができる」。中学生の時に言われた格闘家からの金言。「投球も脱力した方が腕が振れるようになった」と野球に生かした。両親のおかげで現在の「脱力フォーム」が生まれ、スピンの利いた直球が完成した。

 昨年のコロナ禍による練習休止期間も家族でパワーアップ。神奈川県平塚市の自宅にある機器で、家族3人で筋力トレーニングに励み、休止明けには最速を6キロもアップして146キロとなった。
 打線は5回に押し出し四球で畔柳に大会初失点をつけ、後半も粘りを見せたが、及ばなかった。OBで日本ハムなどでプレーし、敦賀気比との1回戦は「木内マジック」をほうふつさせる積極采配で延長13回タイブレークの激闘を制した島田直也監督は「守備からリズムが崩れた。継投のところは勉強になった」と振り返った。

 大敗を喫したが、大川の右手には確かな手応えが残った。「直球は通用する。打たれているのはほぼ変化球。磨きたい」。聖地での経験を夏につなげる。(柳内 遼平)

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