中畑清氏 泣けたセンバツの選手宣誓 震災から「10年」の希望と「2年分」の感動

[ 2021年3月23日 05:30 ]

中畑清氏
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 【キヨシスタイル】泣けたなあ。センバツの選手宣誓。感動した。仙台育英の島貫丞主将。福島出身なんだってね。コロナ禍で2年ぶりに行われる大会。東日本大震災から10年という節目でもある。

 感謝、感動、希望。つらい体験から得た思いを3つの言葉で表し、復興に向けて「これからの10年、私たちが新しい日本の力になれるように歩み続けます」と宣言。夢を取り上げられた1年先輩に思いをはせて「2年分の甲子園。一投一打に多くの思いを込めてプレーすることを誓います」と締めくくった。

 たくさんのメッセージを詰めた3分を超える宣誓。日本の政治家は国会でカンペ見ながら答弁しているのにね。高校球児の代表はしっかり前を向き、一言一句しっかり語りきった。立派だなあ。野球は人づくりのスポーツ。改めて思った。

 甲子園は素晴らしい。野球って素晴らしい。開会式で最高の気分にさせてもらって、試合を見たら、これがまた第1試合から凄かった。レベルが高いんだよ。

 北海のサウスポー、木村大成。終盤つかまって追いつかれ、延長10回にサヨナラ負けしたけど、いい投手だね。右打者の内角に真っすぐをどんどん投げ込んでさ。スライダーの切れもいい。プロでも通用すると思うな。

 大会第2日には1メートル93の長身右腕、天理の達孝太が登場した。MAX146キロの真っすぐだけじゃない。変化球も多彩なんだ。ダルビッシュ(パドレス)大谷翔平(エンゼルス)藤浪晋太郎(阪神)佐々木朗希(ロッテ)に連なる大型投手。こんな質の高い投手が当たり前に出てくるようになったんだなあ。

 野球の競技人口が減っているのは心配だけど、高校球児のレベルは確実に上がってる。まだ春の段階で完成度の高い選手がけっこういるもんね。コロナ禍で練習にいろんな制約があったはずなのに、よく仕上げてきているよ。

 23日の第4日は150キロを誇る注目の投手が続々と出てくる。第1試合では市和歌山の小園健太。第2試合では大阪桐蔭の左腕・松浦慶斗、右腕・関戸康介のダブルエース。めっちゃ楽しみ。2年ぶりの甲子園。2年分の楽しみがある。(本紙評論家・中畑 清)

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2021年3月23日のニュース