新人野球記者の葛藤 にぎやかな「球春」が訪れると信じて

[ 2021年1月22日 09:00 ]

東京ドーム
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 自分はここで何をしているのだろうか。年が明けてから自宅のパソコンを前に何度も思う。今年で入社4年目になるが、記者としては1年生。昨年12月まで紙面レイアウトを担当し、1月から巨人担当になった。大きな希望を胸に迎えた2021年、いきなりの緊急事態宣言。取材は全てリモートになり、ジャイアンツ球場にも一度も行けていない。選手をはじめ球団関係者や他社の担当記者にも就任のあいさつができていない日々が続き、やるせない思いでいる。

 新型コロナウイルスが国内で初確認されてから15日で1年が経った。昨年は「第1波」から感染拡大が続き、センバツやインターハイの中止、東京五輪の延期など「特別な一年」に。プロ野球も3カ月遅れて無観客で開幕。シーズン途中から有観客となったが、鳴り物付きの大きな声での応援は、最後まで見ることができなかった。高校野球の「甲子園の魔物」が代表例だが、応援がつくり出す雰囲気で流れや結果が変わるシーンはプロ・アマ問わずある。開幕戦、首位攻防戦、CSなどは試合開始前からひりつくような緊張感に包まれると聞く。そんな“日常”の球場の姿を早く見たい。

 収束の兆しは未だ見えず、2月1日からのキャンプは無観客で実施される。巨人・阿部2軍監督は14日に「選手は見てもらってなんぼ」と語った。練習から多くのファンと報道陣に囲まれ、一挙手一投足に注目が集まる。アマとの違いを新人選手たちが最初に感じるであろう機会が、今年はなくなってしまった。「特別なキャンプ」は今年限りであることを願いたい。

 例年通りを知らない記者が例年通りではないキャンプを取材する。本格的な現場デビューになるが臆することなく、1年生ならではの視点を生かしていきたい。そして何よりも、練習を見られる、現場で取材できるということに感謝して臨み、毎年キャンプの観戦がルーティンだった方にも、納得してもらえる情報を発信できるよう精進していきたい。

 高校時代、野球部で何度も言われていた「結果の8割は準備で決まる」という言葉を思い出す。キャンプ、シーズンに向けて、この期間を最大限、準備に生かしたい。そして、無観客キャンプを終えた3月以降、にぎやかな「球春」が訪れると信じている。(記者コラム・小野寺 大)

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